そのまま窓際の席に向かって歩きだす。
「いらっしゃ、」
挨拶の声をかけようとしたのだが途中で詰まり、ハッと息を飲んだ。
彼女らから少し離れた後方をいつの間にか別の女が歩いていた。
腰までの長いストレートの黒髪にタートルネックのセーターを着た細身の女なのだが、彼女とその周囲だけが全体にボンヤリして色褪せた感じでおかしい。
そして顔を肩側に倒し呆けたような虚ろな目で、操り人形のようにかくかくとした動きでこちらに向かってくる。
━この女性見覚えがある、、、
懸命に記憶の糸を手繰り寄せていると、女はカウンター端によろめきながら座った。
そして肩側に顔を傾けたまま、何かぶつぶつ独り言を喋りだす。
その顔を改めて見た途端、ゾクリと背筋が凍った。
目鼻口が本来の位置からずれ、あちこち血糊で汚れている。
━そうだ、あの女性はあの時ホームで遭遇した、、
そうようやく合点した時だった。
ゴトン
いきなり鈍い衝突音とともに彼女の頭部だけがカウンターの上に落下する。
うわ!
思わず小さな悲鳴をあげて、後退りする。
彼女は逆さまになった顔で、またボソボソ呟きだした。
どうして私じゃダメなんでしょうか?、、どうして私じゃ、、
一気に心臓が激しく脈打ちだす。
この話は怖かったですか?
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「焼け跡から4人の遺体が発見された。」って書いてるのに「Aさん(55歳)、その妻Bさん(43歳)、息子のCさん(23歳)」で3人しかおらんない…?
やばっ!おっしゃる通りですね
ご指摘ありがとうございます
お恥ずかしい限りです
すぐ訂正します
━ねこじろう