そしてその翌日のことだった。
その日はあまりお客様は来られず壁殴り男も消え、夜の店内は空虚なBGMだけが鳴り響いていた。
いつものようにカウンター向こうの椅子に座ってボンヤリしていた俺が、いつもの閉店時間より早めに店を閉めようかなと思った時だ。
突然入口辺りから黒い人影のようなのが入ってきた。
驚いた俺はそちらに目をやる。
するとそいつはスーッと真っ直ぐ歩き進むと、音もなくカウンターの端に腰かける。
全体としてぼやけた感じで恐らくあちらの者だ。
俺は立ち上がり、それとなく視線をやる。
黒いパーカーのフードを目深に被っておりその顔は伺い知れないが、年齢はまだ若そうだ。
何かぶつぶつ呟いているので俺は耳を澄ます。
「くそ、あの野郎、俺のバッグ返せよ、、くそ、あの野郎、俺の、、」
そして次の瞬間だった。
突然俺の脳裏にセピアカラーの映像が現れた。
暗い歩道を男が一人歩いている。
黒っぽいジャケットにグレーのパンツスタイル。
どこか見覚えのある風体だ。
やがて背後からパーカー姿の男が忍び寄ってくる。
多分カウンターの男だ。
気配を感じたのかジャケットの男が肩越しに振り向く。
その時俺は思わずアッと声を出した。
なぜならそれは他ならぬ俺自身だったからだ。
木刀で殴られアスファルトに倒れ込んだ俺からパーカーの男はバッグをもぎ取ると、ダッシュで走り出す。
男はしばらく走ると途中で狭い路地に曲がった。
暗い路地の途中にある電信柱の前に黒いスエット姿の大柄な男性が立っていた。
シルバーのピアスに金のネックレス。
見るからに危険な雰囲気を醸し出している。
パーカーの男はそいつに近づくと、しばらくなにやら親密に話してこんでいた。
























「焼け跡から4人の遺体が発見された。」って書いてるのに「Aさん(55歳)、その妻Bさん(43歳)、息子のCさん(23歳)」で3人しかおらんない…?
やばっ!おっしゃる通りですね
ご指摘ありがとうございます
お恥ずかしい限りです
すぐ訂正します
━ねこじろう