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呪い・祟り

えんたーさんどまんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

由紀子の箱
長編 2024/11/25 14:38 774view

その間、救世主である八潮は助手席でずっと眠りこけていたが。

広町からお礼と称して夕飯を奢ってもらい、混雑する国道を抜けて広町家に到着した時には、夜の21時をとうに回っていた。
しきりに家に上がっていけと誘う広町とリサちゃんに、「小さい子がいるのに悪いよ」と遠慮し、またゆっくり酒でも飲もう!と約束を取り交わしてから、俺と八潮は広町家を後にした。

帰宅の途につく中、俺は気になっていたことを聞いてみた。

「なぁ、なんで今回はそんな協力的だったんだよ?」

「よりによってそれを聞くのか」

確かに、聞きたいことは山程ある。

だがあの箱に関することは、なんとなく八潮にもよくわかっていない気がしていたし、おそらく「誰にもわからないこと」なのだと、うっすらと理解していた。

ならば…と、俺の好奇心は、今回やけに協力的な八潮の態度に向かったのだ。

八潮は纏めていた髪を降ろして、ポリポリと頭をかきながら聞いてきた。

「広町の奥さんの…リサさんの旧姓、覚えてるか?」

「えぇ?リサちゃんの旧姓…?…ずっとリサちゃんって呼んでたしなぁ…。えーと確か…大…田?大川…大木……」

「…大崎」
業を煮やした八潮が、小声で言った。

「大崎かぁ!大崎…?大崎大崎おおさき……………………………………あっ!!?」

謎が解けた。

大崎さん…というのは、八潮の初恋の相手だ。
小4のとき、他のクラスメイト数人と一緒に怪奇体験をしている。
中学になって話さなくなった…と聞いてはいたが、まさか高校も同じだったとは。

八潮…お前って…。
意外とセンチメンタルな奴なんだな…。
俺は心の中で呟いた。

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