そのまま八潮は、キャンプ道具の中からシャベルを持ち出し、箱とシャベルを持って竹林へと早足で向かう。
それに続く俺と広町。
スタスタと何の躊躇もなく竹林へ分け入り、中央あたりまでくると、八潮は「ここら辺か」…と独り言ちながら、シャベルで穴を掘り始めた。
一連の流れをただ呆然と見守っていた俺たちだったが、広町が「品川…」と小さく俺を呼んだ。
広町が指さす先には、どうやら建物の基礎であろう、苔むした梁があった。
ここに、家は…「自宅」はあったのだ。
ただ、竹林がここまで茂っているからには、なくなってからかなりの年月が経っているようだった。
よく見ればそこかしこに、家があったであろう形跡が見て取れた。
粉々になったガラスの破片、腐食した何かの木枠、金属の欠片…。
そのほとんどが既に自然と一体化していたが、たしかにここに人の営みがあったことを教えてくれていた。
「よし…」
八潮の声でハッと我に帰る。
八潮の傍らにあった箱は既になく、掘った穴も塞がっていた。
「これでもう大丈夫だろ。帰るぞ」
手の土を払いながら、淡々と言う八潮。
「へ…?あの箱は?埋めたの?」
車を止めてから今までのことが、衝撃的かつスピーディーすぎてついて行けず、わかりきった質問をすることしかできなかった。
「あれは返した。もう車にあの子はいない」
返した?もういない?
つまり、どういうことだ?箱の中身は?由紀子って誰だ?
相変わらず言葉の足りない八潮に聞きたいことは山程あったが、何から聞いたら良いのかわからない。
そうこうしているうちに、八潮はさっさと車に乗り込んでしまった。
続いて運転席のドアを開けた広町が、何かに驚いて声を上げた。
「臭いが消えてる…!」
確かに、あの変な臭いがきれいさっぱり消えていたのだ。
なんなら、臭い消しのために置いたであろう芳香剤の強めの香りが漂っている。
「元凶がなくなったわけだから、臭いも消えて当然だよ」
八潮は、窓の外…竹林の方を見ながら呟いた。
行きと違い、帰りの車内は明るかった。
道中既に夜の帳は降りていたが、広町は、「夜になると聞こえてくる異音や息遣いが聞こえてこない!」と大喜びで、コンビニに寄った際にはリサちゃんにも喜びの報告を入れるほどだった。























とても面白かったです。品川くんと八潮くんのコンビ、また見たいです。続編希望です。
文章が上手いです!続編に期待します!
うあー(TT)ありがたいお言葉…!励みになります!
実は奇々怪々さんの前にも別のサイトで投稿してまして…。他の話は全部で5作品あります。
YouTubeに僕の書いた話を朗読していただいている動画がいくつかありますので、よろしければ是非…!
「えんたーさんどまん 怪談」で検索していただければでてくると思います(笑)
更新頻度はまちまちですが頑張って書いていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
はじめまして!趣味で細々とyoutubeで怪談朗読をしている者です。
こちらのサイト様を初めて拝見させていただいたのですが、直感で『朗読したい!』と思い録音しながら読ませていただきました。
読み終えた感想ですが・・・非常に面白かったです!!!
八潮くんのキャラすごく私好みで、ストーリーは怖くもあり謎にも満ちていて、品川くんとのやりとりもいいし、読んでて楽しくてたまりませんでした’`ァ’`ァԅ(//́Д/̀/ԅ)’`ァ,、ァ♡
他にも作品があるということ、早速検索してみようと思います!
録音した朗読もぜひ動画にさせていただければと思っています!
えー!YouTuberさまから直接コメントいただけるとは…!
面白いと言っていただけて、本当に嬉しいです…!試行錯誤して書いた甲斐があるというもの…!
ありがとうございます!
登場人物たちは、物語のキャラ付けっぽく若干誇張して書いてる面もある為、好き嫌いが分かれそうだなぁ…と心配していたのですが…。
楽しく読んでいただけたのなら光栄です…!
朗読していただいた動画、こちらでも検索してみたいと思います!
ありがとうございます(^^)今後ともよろしくお願いいたします!
リプありがとうございます!
趣味の一環なのでYoutuberとは言えないくらい本当にしがないチャンネルですが、近々アップさせていただきます!
『萌える怪談朗読』の眼鏡萌えと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。