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呪い・祟り

えんたーさんどまんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

由紀子の箱
長編 2024/11/25 14:38 209view

俺の幼馴染である八潮という男には、霊感がある。
長い付き合いだが、それを知ったのはつい数年前のことだ。

それから今まで、オカルト好きな俺は、ちょいちょい八潮の厄介になることが遭った。

今回の話は、俺と八潮の共通の友人である広町と、その家族が経験した怪奇な話だ。

俺が生粋のオカルトマニアであることは、友人たちの間にも周知の事実であり、宴会芸よろしく持ち怪談を披露させられることもあれば、心霊懐疑派からは鼻で笑われることも度々あった。
まあ、怖い話というのは実際のところ、8割くらいは現実的な説明がついたりもするもんだ。
俺もそれは承知の上で、エンタメとして楽しんでいる部分が大いにあるわけだが。

ある時、その心霊懐疑派で、高校時代俺の話を鼻で笑っていたうちの1人である広町から電話があり、こんな相談を受けた。

『先月買った車がおかしい』

…と。

どういうことかと聞いてみれば、説明が難しいんだけど…と前置きしてから話してくれた。

以下、わかりやすくする為、一旦現象だけ箇条書きにしてみた。

1、購入から数日後、車の中で異臭がするようになった。
2、車内のどこかからか、カリカリというかすかな異音が鳴る。
3、2歳の娘が頑なに車に乗るのを嫌がる。特に後部座席のチャイルドシートに乗せようとすると、体を反らせて火のついたように激しく泣く。(仕方がないので、本来よくないことだが、助手席にチャイルドシートをつけて乗せているらしい)
4、帰社時など、夜車に乗っていると、背後から人の息遣いやボソボソという話し声が聞こえることがある。

5、カーナビに自宅設定しようとしたところ、前オーナーの住所らしきものが入力されていた。…が、この住所が何かおかしい。

というもの。

車は、街の中古車ショップで現状売りされていた、安いミニバンだ。
年式もそこまで古くなく、人気車種であるにも関わらず、車検付き総額35万という、ミニバンにしてはかなりの破格。
マイホームの購入と重なったため、なるべく安い車を…ということで決めたらしい。

「中古車屋に問い合わせてみたんだけど、現状販売でご了承いただいているので…って、もう全然取り合ってもらえなくてさ…。むしろちょっと笑われちゃったもんね…」と、自嘲する広町。

それでもなんとか、この破格の理由を聞き出せたところによると、ボディに小さな傷が複数個あり、走行距離も10万キロに近く、車内清掃を簡易的なもので済ませている為…との回答を得られた。
前オーナーのことも聞いてはみたが、そういうことは言えないといいつつ、普通の中年のご夫婦でしたよ…と、中古車屋のオヤジはため息混じりに答えたのだとか。

俺はそこまで聞いて、うーん…と唸った。

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