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不思議体験

ほらりんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

森の中の洞窟
短編 2024/10/21 14:42 820view

ある日、都会の喧騒から離れたいと思っていた若い女性、沙織は、静かな森を散策しているときに、不気味な洞窟を見つけました。洞窟の入口は、まるで何かに吸い込まれるかのように口を開けていました。

洞窟の中は冷たく、湿った空気が漂い、奥の闇がどこまでも続いているようでした。沙織はスマートフォンのライトを頼りに、慎重に歩を進めました。暗闇の中で足音が響くたびに、心臓の鼓動が高鳴ります。

突然、後ろから誰かに見られているような気配を感じ、振り返りましたが、そこには誰もいませんでした。恐怖が沙織の心を支配し始めましたが、それでも好奇心に駆られて奥へと進みました。

深く進むと、壁には古びた血文字が刻まれていることに気づきました。「ここで引き返せ」と書かれていました。冷たい汗が背筋を伝い、沙織は恐怖で立ちすくみました。すると、洞窟の奥から不気味な笑い声が聞こえてきました。

「ふふふ、よくここまで来たな…」

その声はまるで洞窟全体が囁いているかのようでした。沙織は叫びたくなるのをこらえ、振り向くと、暗闇の中にぼんやりとした白い影が浮かんでいました。その影はゆっくりと近づき、次第に形が明確になっていきます。それは、顔のない人形のような姿でした。

沙織は恐怖で足がすくみ、動けなくなりました。影は彼女の周りをゆっくりと回り始め、寒気が全身を包みました。突然、影が彼女に触れようとした瞬間、洞窟全体が揺れ始め、天井から土砂が降り注ぎました。

「ここから出なきゃ…!」

必死に振り絞った力で洞窟の外へと走り出しました。外に出ると、冷たい風が彼女の顔に当たり、目の前の世界が現実に戻ってきました。

しかし、振り返ると、洞窟の入口は完全に埋まっていました。あの不気味な影と不吉な笑い声は永遠に封じ込められたのか、それとも再び現れるのかはわかりません。

沙織はその日以来、二度とその森には近づきませんでしたが、洞窟の中で感じた恐怖と奇怪な出来事は彼女の心に深く刻まれました。そして、その洞窟の存在は、永遠に彼女の夢に現れ続けるのでした。

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コメント(1)
  • 怖かったね、沙織。

    2024/10/23/00:57

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