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心霊

牧芭之ちぃさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

お盆に帰ってきたもの
短編 2024/10/01 18:20 1,947view
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私が実際に体験したお話です。

小学生の頃、夏休みになると母方の実家に遊びに行っていました。
母、私、弟の三人で、祖父母の住む関東地方に5日間ほど滞在するのです。

毎年恒例のこの行事。
皆で一緒にお出かけしたり、プールに遊びに行ったり。
そんなふうに祖父母との時間を楽しんでいたのですが……。
ある朝、突然それは起きました。

目が覚めると、天井いっぱいに無数の人間の顔が広がっていたのです。
顔、顔、顔、顔、顔。
男の人、女の人、おじいさん、おばあさん、小さな子もいる。

いろんな人間の顔が、天井いっぱいに敷き詰められるようにして蠢いている。
半透明のそれらの向こう側には、天井の木目が透けてみえていました。

布団に寝転がったまま、私は固まりました。
寝ぼけた頭にいっぱいの顔の情報が入ってきて、ゆっくりとそれを認識してから、私は一度目を閉じました。
それから再び天井を見ましたが、状況は変わりません。

部屋の天井いっぱいに、見知らぬ顔がひしめている。

しかし不思議と嫌な印象はありませんでした。
こちらを見たり睨んだりしてくるわけでもなく、ただそこに普通の人間の顔が無数にひしめているだけなのです。

しばらくそれらを眺めた後、私はとりあえず1階に降りることにしました。
祖父母の家に泊まる時には、1階に祖父母、2階に母と私と弟が寝泊まりしているのですが、母と弟の姿が見当たらなかったからです。

すでに起きていて1階に行っているのかもしれない。
それに、この状況を共有できるのは、霊感体質である母だけなのです。

私はできるだけ天井を視界に入れないようにしつつ、1階に繋がる階段を下りていきました。

1階のキッチンでは母と祖母が朝ごはんの準備をしており、祖父と弟はリビングでテレビを見ていました。
その1階の天井にも、無数の顔がひしめています。

「…………おはよう」
「ああ、おはよう。朝ごはんもうできるよ」
「うん、ありがとう。手伝うけど、ちょっとだけ話いい?」

不思議そうにする母を廊下に呼び出し、私は今見えているものの話をしました。
しかし、同じものが見えているだろうと思っていた母は、「そんなものは全く見えていない」と答えたのです。

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コメント(1)
  • おっふ…

    2024/10/10/18:02

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