最後の心霊体験
投稿者:牧芭之ちぃ (4)
私が実際に体験したお話です。
社会人になり一人暮らしを始めた私は、駅から自転車で15分ほどのマンションに住んでいました。
駅周辺はそれなりに賑わっていますが、少し進むと静かな住宅街になっていきます。
大通り沿いに行く方が24時間営業をしているお店も多く明るくて安全です。
ですが、その道は私の家に対して迂回するような形で通っているので、早く自宅に帰りたい私はいつも駅からほぼ直線で家に帰れる一本道を選んで自電車を走らせていました。
その道はぽつぽつとしか街灯はなく、人通りもほとんどありません。そして途中、どうしてそんなところにあるのかわかりませんが、小さな森のようなものが左手にありました。
その夜も、好きな歌を小さく口ずさみながら自転車を走らせ家路を急いでいました。
「そっかぁ、寂しかったんだねえ。おいで」
きょとんとしました。
それは私の口から出た言葉でした。
口ずさんでいた歌の歌詞とは全く違う、ぽつりと独り言のように漏れたその言葉は、まったくの無意識で私は混乱しました。
そして次の瞬間、ずし、と重くなったのです。
明らかに身体が沈んだ。自転車が負荷を加えたようになった。ひくりと顔が引きつりました。
これ、まずいやつだ。
私今なんて言った?
おいで? 寂しかったんだね、おいでって言った?
どうしようもありませんでした。
浮かぶのは母の顔。
幼いころだけしか霊感のなかった私とは違い、母は今でも何かを感じることができる体質でした。
とにかく家に帰って、それから、母に電話をして、何か言われたらどうにかしよう。
どうにかとはどういうことかなど、考えていられませんでした。
重くなった自転車を必死で漕ぎ、マンションについて自転車を置き、背中に怯えながら家に入って、震える手で携帯電話を取り出し母に電話を掛けました。
「あ、もしもしお母さん?」
「うん、ちぃちゃんどうしたの突然」
「あ、えっと、あのね」
説明しようとした瞬間、母が言いました。
「あれ? 今誰か友達と一緒にいるの?」
私は頭を抱えました。
「……なんか聞こえるの?」
「うん? 男の子の声聞こえたけど」
「…………いや、私しかいない。今家にいる。実は……」
不思議な事ってありますね。
頼られてしまったんでしょうね~似たような体験あります。
自転車が急に重くなるの想像したら怖すぎる
応援してます
実話は、やっぱりいいですね。ゾクゾクします。
私は私と私の周りの好きな人たちのことしか抱えられません
いいですね。私もこんな感じで過ごします。
投稿者様も、優しい方なんでしょうね。