腕の夢
投稿者:綿貫 一 (31)
短編
2024/09/20
22:50
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その手に押しつぶされて、黒い街とともに、僕は消えた。
※
※
僕は、ベッドの中で目を開いた。
カーテンの隙間からは、夜明け前の薄明かりが差し込んでいる。
びっしょりと寝汗をかいていた。
汗が喉元を伝い、それを左腕で拭った。
右腕で、重い体を支えて起き上がる。
どうしようもなく喉が渇いている。
僕は部屋を出て台所に向かった。
ブゥーーーーーーーーーン……
大きな冷蔵庫から、かすかな振動とともに重低音が響いている。
僕がそのドアを開くと、ひんやりとした空気が汗に濡れた頬を叩いた。
冷蔵庫の中には腕が一本、よく冷えて入っていた。
〈了〉
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