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ヒトコワ

Flounderさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

廃ビルの革命家
短編 2024/09/20 18:07 124view

本のタイトルは『国家と革命』と『わが愛わが革命』、写真立ての人物は『ウラジーミル・レーニン』でした。

ここまで書けばお分かりになると思いますが、その廃墟は犯罪者のアジトでした。
机の上のガラクタは「釘で威力を高めた(破片効果を高めた)手製時限爆弾」でした。

「よし逃げよう」とAが部屋から出たときでした。今までただの壁だと思っていた暗がりが明るくなっていることに気付きました。そこにあったのは非常ドアでしたが、それが開いていたのです。

「誰かが俺を見ていた、まだヤバい奴が近くにいる」そう直感したAは大急ぎで階段を駆け下り、車に飛び乗り、アクセルを踏み込んで幹線道路まで走り抜けました。

10分ほど走ると、赤色灯が点いた建物、駐在所を見つけました。
Aはすぐに車を止め、駐在所の扉をドンドンと叩き、大声で警官を呼びました。
その駐在所の警官はもう寝ていましたが、その音で目を覚ましたらしく、Aを中に入れてくれました。

「廃墟に無断進入した」と言ったところで警官は渋い顔をしたそうですが、それでもAの話を信じてくれ、本署の警官に応援を呼び、Aをパトカーに同乗させてその廃墟に向かったそうです。

その廃墟を捜索した警官によると、日本赤軍系の過激派がいたのではないかとの話です。

花火を分解して作った爆弾と、肥料から作った爆弾が残されており、弁当ガラの消費期限から過激派達はAが訪れる直前までその室内にいた可能性が高かったそうです。

Aは不法侵入を咎められましたが厳重注意で済み、自分の車を止めた場所を説明させられました。車を止めた空き地まで警官を案内した時、Aは失神しかけました。

自分の車の跡が残っていたのですが、その周りに「明らかにAの物ではない足跡」が幾つも残っていたそうです。
少なくとも3人分、しかもナンバープレートを確認するように車の前に足跡が集中していたそうです。

警官も顔をしかめ、「身元を特定されるかも」と言葉を濁しつつも答えたそうです。
当時はナンバープレートのみで個人を特定できました。(2006年以降は出来ない)

Aはその翌日、すぐに車を手放し、1週間後には別の地域へ引っ越しました。
その後も、数年おきに住居や車を変え、Aは怯え続けたそうです。

駐在所の警官とは連絡を少しの間取っていたそうですが、「過激派組織全貌解明のため、報道や大規模捜査はせず公安に調査を引き継いだ」と教えて貰ったそうです。

今もなお、その組織メンバーが逮捕されたという連絡や報道はないそうですが、Aは「流石にもう追ってこねえだろ」と今は安心して定住できているそうです。

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