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不思議体験

Flounderさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ドッペルゲンガー?
短編 2024/09/14 21:05 617view

今から10年以上前、私が中学生だった頃の話です。

その日は夏で、日が落ちるのが遅く全ての部活が17時の閉校まで活動を行える日でした。
授業も早く終わり、14時半ころから3時間半も部活を行える貴重な日でした。
私は科学部で、当日は顧問のいる科学準備室の片づけの手伝いを行っていました。

意外と早く終わり、全員で休憩していると(年間予算が5000円なので、新入生勧誘時と文化祭の公開実験以外で実験を行うことが出来ない)、私の担任が部室にやってきました。

普段顧問以外の先生が来ることはなく、私が先生を見ると「ちょっと。○○君来なさい」と怖い顔で呼びかけてきました。

何が何だかわからず、先生に連れられて行ったのは職員室に隣接した会議室でした。
そこには、学年主任と教頭先生がいました。

「なんで呼ばれたか分かってるね?」と教頭先生が切り出しましたが、私には何の心当たりもなく、「いいえ」というのが精一杯でした。

ため息をついた担任が、「さっき、保健室行ったろ?」と私を睨みながら「保健室から○○君が消毒液のオキシドールを大量に持ち出したと△△さん(養護教諭)が仰っている」と言い、「なんでそんなことをした?消毒薬はどこにある?」と続けました。

教頭先生も「△△さんは君を止めようとして突き飛ばされて、腰を打ったそうだ。犯罪になるよ?」と詰め寄ってきました。

でも私には全く心当たりがありません。保健室には学期初めに健康診断と指を窓枠で挟んだ時に行って以来です。

「知らない、行っていない」と言っても信じてもらえず、「親御さんにも連絡する」とまで言われ、私はパニック寸前でした。

「15時半頃の話だ!□□先生も消毒薬のボトルを抱えた君を見たといってるんだ!」と学年主任が怒鳴ってきました。
が、それで私は「あ、自分の無実を証明できるかも」と思いました。

「その時は顧問の手伝いをしていました。顧問と部長と副部長と他にも5人くらいと一緒にいました。顧問が『3時45分か。案外早く終わったね』と言っていたので、間違いないです」

と自分のアリバイを先生達に伝えると、「嘘つきやがって」みたいな顔をしながら、学年主任が確認に向かいました。

5分もしないで帰ってきた学年主任は、混乱したような顔で「間違いないそうです。部活開始からずっと○○は居て、トイレにも言ってないと部員と顧問が証言しました…」と私のアリバイを証明できました。

今度は教頭先生が驚き、「しかし□□先生は遠目だが彼を見たと言っていたよ。保健室で○○○○(私のフルネーム)と名乗っていたそうだし…」と口ごもり、そのまま会議室を出ていってしまいました。
帰ってきた教頭は養護教諭を連れてきて「彼のはずですが…」と私を指して言いました。

「違います」と、教頭が言い終わる前に養護教諭はきっぱり否定しました。

「立ってもらえますか?」と養護教諭が言って、私が立つと「絶対に違います。もっと背が高かった」と再び私じゃないと否定しました。

今度は□□先生が呼ばれ、その人物を見た場所で私にポーズを取らせ、確認したところ「違う。もう10cmは背が高かった」と目撃者二人が私じゃないと否定しました。

私も□□先生も担任も何も分からないまま会議室に戻ると養護教諭は教頭先生と一緒にアルバムを見ていました。私の中学校には新学期に集合写真をとる習慣があり、同学年のクラスすべての生徒を確認していたそうです。

その中で最も似ていたのはやはり私だったそうですが、
・私の顔にある目立つほくろがその消毒薬持ち逃げ犯の顔に無かった。
・アリバイが完全に証明されている。
・身長が違い過ぎる。(犯人は160cm台後半、私は当時150cm台前半)
・支給される名札を犯人は付けていなかった。

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