廃ビルの革命家
投稿者:Flounder (3)
これは私のバイト先の先輩(以下Aとします)から聞いた話です。
今から20年以上前、A(当時大学生だったらしい)は、廃墟探索を趣味としていたそうです。
その先輩が廃墟探索を止めるきっかけになったのが、この話です。
最後にAが訪れた廃墟は、北陸地方の海岸に近い低層ビルだったそうです。
そのビルは事務所か何かに使われていたようで、入り口の自動ドアは塞がれていたものの裏口は開いていたそうです。
地味な見た目と残置物の無さから廃墟マニアからは見どころはないと無視され、駐車場も無くアクセスも微妙に悪かった事から地元の暴走族グループさえ近寄った痕跡の無い場所でしたが、Aは「”同業者”に荒らされていない」と考え、とりあえず行ってみたとのことです。
その廃墟の近くの空き地に車を停め、懐中電灯とカメラだけ持ってAは廃墟に侵入しました。
1階、2階にはまさに空っぽの廃墟で、古い事務机や据え付け式の書類棚しかなく、床のリノリウムもボロボロになり、「見所がない」の前評判通りただのドンガラでした。
3階まで登った時、Aは違和感に気付いたそうです。
「臭い」
それがAの最初の感想でした。
風呂に入っていない人間の体臭と食べ物の腐った臭いが鼻を突いたそうです。
Aはホームレスの占拠した廃墟に入ったことがあったそうで、その臭いを嗅いで「ヤバい。誰かいるのか?」と思いました。
しかし、その廃墟は車が無ければ町からたどり着くことも難しい距離にあることを思い出し、ホームレスではないと思い、さらに3階の奥へ進みました。
床にはコンビニやスーパーの弁当ガラが幾つも落ちており、そのうちのまだ新しい物(タレが液体のまま残っていた)に蠅が集っていたそうです。
3階最奥部、道路側の部屋に入った時、さらに異臭をAは感じました。
花火のような臭いと、薬品的な匂いだったそうです。
その部屋を懐中電灯で照らしたとき、Aは絶句しました。
まず、窓は上の換気用小窓を残してベニヤ板やトタンで塞がれ、その前に椅子が置いてあったそうです。
窓は大部分が塞がれてはいたものの、外が見えるように数センチの隙間が明けてありました。
その隙間からは、道路とAが車を停めた空き地が見えました。
そして、壁際にあった事務机の上には、何かのガラクタのような物が置いてありました。
更に、近くに落ちていたレジ袋の中には花火の包装と中身を抜かれた爆竹が大量に詰め込まれ、机の上の金属の箱には黒い粉が詰まっていたそうです。
更に硝安(硝酸アンモニウム、肥料の一種)の袋も部屋の隅に置いてありました。
机の上のガラクタに見えた物は、黒い粉と釘やネジを詰めた箱に何本もコードが繋がれていて、近くには目覚まし時計のような物もありました。
その脇には『薔薇の詩』という本が置いてありました。(内容については記載しません。興味のある方は自己責任で検索してください)
ゴミが散らばった室内に、一角だけきれいな場所があることにAが気付きました。
そこには小さな台が置かれ、写真立てと2冊の本が置いてありました。
ありがちな心霊体験の話かな?と思ったら予想外の展開で面白いです。
やはり、お化けよりもこちらの方が怖いです。
リアルだったらヤバい
警察でも手が出せないのかな?