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都市伝説

horiedonさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

四隅の実験
短編 2024/08/20 02:28 1,683view
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こんな話を聞いたことはないでしょうか。

真っ暗な部屋の中、四人で部屋の隅に座ってから、反時計回りに隣の人の肩をタッチしに行きます。

そうすると最後に四人目が一人目のいたところに向かっても本来なら誰もいないはずですが、そこに誰かがいる・・・といったものです。

これは久しぶりに会った小学校の時の同級生から聞いた、私の通っていた小学校で過去に実際にあった話だそうです。

恒例の六年生の修学旅行で、ある四人が班を組みました。仮にABCDとしましょう。

毎年、修学旅行の一日目は自炊やキャンプファイヤなどのアウトドア体験をした後、各班でコテージに泊まることになっています。

そこで、いつしか四人の中で、前述の都市伝説をコテージで実験しようという話が持ち上がったのです。

もっともこの時、ABCの三人はグルになってDを驚かす作戦を立てていました。

Dは所謂おバカキャラで、突拍子もないことを言ってクラスを笑わせたり、ちょっかいを出した時に良い反応をするものですから、引っかけ役にはもってこいでした。

やり方は簡単で、AがBの所に行った後にこっそり元の場所に戻るというものです。こうして、最後にAの所にやってきたDをおどかすのです。

そして、ついに修学旅行の日がやってきました。

一日目も夜になったところで部屋の電気を消し、両側のカーテンも閉め、その上から四人のバスタオルもかけると、室内はもう真っ暗です。

「いくよ~」とAが言って実験がスタートしました。Aは四つん這いになりペタペタとBのいる方に進んでいきます。

手探りでBの肩にタッチした後、Aは即座に元居た場所へと戻りました。

すると思いがけず、その場所にいた何者かの身体にぶつかったのです。

Aは心底びっくりして、「キャー」と女の子の様な悲鳴を出してしまいました。

すると相手の方は弾けたように笑いだしました。

なんとDがAを驚かすためにAが動いた隙に移動してきていたのです。

他人の意表を突く事に関しては、ひょうきん物のDの方が一枚上手だったのでしょう。

想定外のタイミングで起きた悲鳴と笑い声にびっくりしたBとCは、「なに!?なに!?」と激しく動揺し、Cが手探りで部屋の灯りのスイッチをつけました。

部屋の隅では怒ったAが腕をぶん回してDを殴っています。Dはそれを両腕でガードしつつも、「ごめん、ごめんて!」と言いながら笑っていました。

そして、Dが元々いた反対の隅では見知らぬ女が体育座りをしながら肩を震わせて笑っていました。その女は食べかけのトウモロコシを両手で持っていて、笑うたびにボロボロになった歯の隙間からヨダレ交じりの茶色い食べカスが飛んでいたそうです。

次の瞬間、Bが扉を蹴飛ばして裸足で外に逃げ出し、後を追う様にACDの三人ももつれ合いながら外へ飛び出しました。

とんでもない大声で先生を呼びながら。

四人から不審者の通報を受けて、食堂に待機していた先生たちが三人で向かいました。

それから四人は食堂の端っこの席で何も言わずに縮こまっていたそうです。

しばらくして先生の一人が戻ってきてこう言いました、

「おまえら一体何してたんだ・・・」

てっきり「安心しろ、部屋には誰もいない」といった答えを期待していた四人は、この言葉を受けてお互いに顔を見合わせました。

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コメント(2)
  • 片付けが大変ですね

    2024/08/20/08:34
  • 歯をちゃんと磨いていなかったんですね

    2024/09/05/01:38

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