子供が大人になるまでは

だが今オレがいるのはあの世ではない
かつての蝶子のお屋敷だ
屋敷の中には蝶子と元義父と赤ん坊たちがいる
元義父の話だと、ここはこの世とあの世の狭間で、蝶子はここに思念で自分が燃やした屋敷を作り、オレを待っていたそうだ
『ホギャーホギャー』
オレはそこで、気味の悪い赤ん坊たちに囲まれている

『なぁ、蝶子、いつまでここにいるつもりだ？』

さっさと成仏したい
『ほほほ……やっと一緒に暮らせるのよ。暫くはここにいましょうね。子供たちが大人になるまでは待っててよ』

こともなげに言うが、一番最初の良子は、もう40年も前から赤ん坊だった筈だ
『お…、おい……この子たち、大人になれるのか？』

『ほほほ……今まで待たせたのだから、全員が大人になるまで、今度はあなたが待つのよ。どのくらいかかるか分からないけど、それまで、ずうううっと一緒よ』
蝶子はオレにベットリ抱きついた

もう、絶望しかなかった