猫さらいの末路
投稿者:セイスケくん (30)
ある日、俺の飼っているミイ(アメリカンショートヘア)が突然姿を消した。
ミイはてんねこ、先天的なてんかんを持った猫で、突然痙攣したり、異常なジャンプを繰り返したり、壁に激突したり、おもらしをしたりする。
その様子を見ていると、俺も心が痛んだ。
だから、ミイを外に出すことはなく、台所の上下に開く小窓から外を眺めるのが彼女の日課だった。
けさ未明、台所の方から「ギャッ!」というミイの悲鳴が聞こえた。
慌てて駆けつけると、網戸が上に開いていた。
ミイが自分で網戸を開けるとは考えにくい。外部から何者かによって引きずり出されたとしか思えなかった。
純血種を狙った猫さらいがいることは薄々知っていたが、まさか家猫を狙うとは。
心配で心が押しつぶされそうだった。
家族と手分けして町中を探し回ったが、何の手がかりも得られなかった。その夜、眠れぬまま朝を迎えた。
翌日の昼過ぎ、なんとミイがひょっこりと家に帰ってきた。汚れてはいたが、大きな怪我もなく無事だった。俺は安堵のあまり涙が出そうになった。
しかし、ミイの帰還と共に奇妙な話が広まり始めた。
ミイが姿を消した日、近くの川で一体の遺体が発見されたというのだ。
その男は以前から町内で猫をさらうという噂があった人物だった。
だが、捕まることなくその悪事を続けていた。
遺体は膨れ上がり、見るも無惨な姿だったが、特に奇妙だったのは全身に無数のひっかき傷があったことだ。
警察はその傷を調べた結果、猫の爪によるものだと断定した。
俺のミイも、その日大きな戦いを経験したのかもしれない。
奴はどこかに連れ去られたが、自力で逃げ出し、その男と壮絶な戦いを繰り広げたのだろう。
そして男は川に落ち、命を落とした。
この事件を通じて、町中の人々は恐怖と安堵を同時に味わった。
猫をさらう常習犯が消えたことに対しては、当然の報いだと感じる一方で、あの川で何が起きたのか、誰もが知りたくない真実を感じ取っていた。
ミイがさらわれたその日、俺の心は絶望で満たされていた。
しかし、まもなくして猫は帰ってきた。
やはり、あいつはただの猫ではなかったのかもしれない。
恐怖とともに、この謎めいた出来事が心に深く刻まれることとなった。
ミイ無事に生還して良かった
外に出すことはない家猫なのによく自分で帰って来られたね
道覚えてたんじゃね?