鏡の監獄
投稿者:セイスケくん (28)
「鏡の監獄」――そんな名前で囁かれる不気味な噂を知っているだろうか。
上下左右、そして全方向を鏡に囲まれた閉鎖空間に入ると、人は正気を失う。
鏡に囲まれた部屋だけでなく、球形の鏡面――完全なる「鏡の球」に入った場合、そこから戻った者はいないとも言われている。
この話はただの作り話ではない。
実験と呼ばれる形で、実際に起きたとされるのだ。
1970年代、某大学の心理学研究室では、人間の自己認識と鏡の関係を探るため、完全に鏡張りの部屋を作り上げた。
床、壁、天井、全てが鏡。
被験者はこの部屋に30分間だけ入るよう指示された。
当初は単なる心理実験だったが、そこから起きた出来事は予想を超えたものだった。
最初の5分間、被験者たちは部屋の異様な光景に戸惑うだけだった。
無限に続く自分の姿、それが新奇であり不気味だった。
しかし10分が過ぎると、一人、また一人と奇妙な訴えを始めた。
「自分がどこにいるかわからない」「鏡に映る自分が自分を見返してくる」「自分が分裂していく気がする」。
15分が経つ頃には、ほとんどの被験者がパニックを起こし、部屋から退室させられることになった。
特に深刻だったのは、ある男性被験者の証言だ。
彼は鏡の中に「自分ではない何か」を見たという。
「それは私に似ていたが、決して私ではない」と震える声で語った。
その後、彼は部屋の中で叫び始め、鏡に映る影を手で払いのける仕草を繰り返した。
救出後も精神状態は安定せず、「あの中にはもう一人の私がいる」と繰り返し訴えた。
彼の治療には数ヶ月を要したが、その間も「本物の自分は部屋に残され、偽物がここにいる」と話し続けたという。
これだけでも十分に恐ろしいが、さらに不気味なのが、「球形鏡面空間」の話だ。
この噂の出どころは1950年代、某国の秘密研究所で行われた極秘実験にあるという。
全方位を鏡に覆われた完全球体の中に人を入れるというものだ。
この空間では光が無限に反射し、どこを見ても自分の姿しか見えない。
その結果、被験者は普通の鏡張りの部屋を超えた異常な体験をすることとなった。
ある被験者は、自分の姿が次第に変化し、最終的に見知らぬ他人の顔になったと話す。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。