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白と黒の旅人さんによるにまつわる怖い話の投稿です

伝聞・病院の奇霊達
長編 2024/05/20 16:39 1,871view

今回の病院の奇霊達は私の体験ではなく、看護師になった同級生の経験です

1件目

「初めに見たのは初夜勤の時だったなぁ〜。」

調べれば詳しいことは分かるだろう。
夜間せん妄というものがある。

まだ担当患者さん以外の名前を覚えきれていない頃だったのこと

「夜中に突然よく分からないことを言う人もいるんだけどナースコールちゃんと押す人もいるんよ。」

手術後だったりすると、そういう幻聴や幻覚が一時的に出てくる患者さんもいるのだが大抵はすぐ治るし長引く人でも特定の時間だけ(それこそ人が静かになる夜だけ)という人もいるのだとか。

「それでナースコールなったから行ったんよ。同室の人は担当してたけどその時は担当じゃない同室の患者さんだったね。行ったら70歳ぐらいのおばあちゃんの患者さんがベッドの下覗いてたんよね。まあ落ちたら危ないから止めるわけよ。」

「あら、看護師さん。寝ぼけて猫ちゃん落としちゃったみたいなの。探してくださらない?」

と同級生に気づいたおばあさんは話しかけた。もちろん病院の中なので猫なんて連れ込めない。

「猫ちゃんですか。どこかな〜?」
同級生が探しているとおばあさんが上から「そこよ。そこそこ。」と指示を出してくる。もちろん見えないのでちょうどいいタイミングで捕まえた素振りをすると「あらまぁありがとうね。」とおばあさんは満足そうだった。

「またなにかあればナースコールで教えてください。おやすみなさい。」

同級生はそう言って立ち去った。
後日、担当患者さんに付き添って病棟内を歩いているとあの夜話した患者さんを見つけた。患者さんも同級生を何となく覚えていたらしく、向こうから話しかけて来たらしい。

「いつだったかしらお会いした気がするのだけども…。なにか貴方には手伝って貰った気がするわ。」
と言われたので夜中にナースコールで呼んでもらった時、探し物を一緒にしたということを伝えたのだとか。

「あらそうなの。私もこの前迷子のウチの猫を探す夢を見たの。死んじゃってしばらくするけどたまに夢に出てくるのよ。一緒にお昼寝するの。携帯の待受のこの子よ。」
と楽しそうに伝えてくれたそうだ。

看護ではゴードンなるものやICFなるもので患者さんのことを評価するらしいのだがそのことをきっかけに役割のところにそのことを追記したらしい。

2件目

自分の担当している患者さんに実習でやってきた学生2人組が担当として関わるようになった。
ある時学生の1人から「〇〇さん、他の看護師さんに連れられて御手洗行ったそうなんですけど見つからないんです。」
と報告があった。
学生2人が訪室した時には既に病室にはおらず、同じ部屋の患者さんから「〇〇さんは通りがかりの看護師さんに頼んで御手洗連れてって貰ってたよ」と教えてもらった。リハビリ前なので直ぐに帰ってくるだろうと思っていたがリハビリの療法士さんが迎えに来た頃にも戻っていなかったという。

同じ病棟内のふたつのトイレを探してもおらず、異性のトイレを探してもいなかった。

見つかったのは下の階のバルコニーで失禁などもなかった。
患者さん自身は「御手洗終わったあと、少し待っててと待たされた。」
としか行ってくれず、1人で車椅子に乗れる人とは言えどバルコニーまでは車椅子を押して移動していたのでどんな看護師かはわからなかった。

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