お告げ
投稿者:綿貫 一 (31)
長編
2024/05/09
22:19
9,939view
ああ――お告げだ。
小6の時、親戚のお姉さんの出産を予言した。
中3の時、仲良しの友だちの死を予言した。
今度は誰が、予言の対象になる?
自分か?
旦那か?
家族か?
友人か?
それとも、お腹の中の――、
「私、お告げを聞くのが怖かったの。
天使の予言には、吉もあれば、凶もあった。
良いことならいいけど、もし、悪いことを告げられたら……。
だから、私――」
だから。
食べた。
目の前で、今にも言葉を吐き出そうとする、背中に羽根を持つ、小さなモノを――。
バクリ。
それには肉の味も、骨の歯ごたえもなかった。
口の中であっという間に、メレンゲみたいな泡になって消えた。
甘い味だけを、舌の上に残して。
「ねぇ、天使を食べちゃった私は、これからどうなるんだと思う?
これから何が起こるのかなぁ?
ねぇ、マイちゃん――」
ヒナコは憔悴しきった顔でつぶやいた。
手にしたコップの水が微かに揺れていた。
〈了〉
前のページ
7/7
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 25票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。