事故物件の日記帳
投稿者:太山みせる (35)
中には舞と武智が放心状態で立っていた
幽霊らしきものは、もういない
「だ……大丈夫?」
そう問いかけると、2人とも無言で頷いた
舞は震える声で、
「……ひとまず、……ここを出て、お爺さんの家に行こう」
と言った
※
時刻は夜中の1時に近かったが、高齢の祖父は元気に、快く迎えてくれた
舞は女の幽霊が出たことや、武智と2人にしか知らないことも報告した
あの時、2人は閉じ込められた
背後に女幽霊の気配を感じながら、必死にドアを開けようとしていると、後から2人は抱きしめられた
『ごめんね…、アイ、タケシ』
(えっ?)
ドアの外からは、千野たちが開けようと頑張ってくれている
「舞、武智、大丈夫?」
とあちらも必死だ
『生きていたのね、アイもタケシも大きくなったのね、良かったわ』
アイ?タケシ?誰ですか、それ?
「舞!武智!大丈夫なの?返事して!」
寺内の一際カン高い声に、ハッとしたように女幽霊は、
『あの子たちではないのね』
悲しそうに呟いて消えた
舞の話を聞くと、それまで張り詰めていた感情が緩んだのか、オカサーたちは噴き出した
「幽霊も勘違いするのか」
「アイとマイ、タケシとタケチ、確かに似てるね」
最初に寺内が舞と武智の名を叫んだ時に聞き違いをして、その後で間違いに気づいたのだろう
笑っているメンバーの横で、武智がずっと項垂れている
それに気がついた千野が声をかけた
「武智、どうした?」
「…うん、……すごく悲しくて…」
「何が?」
「……あの幽霊は母親で、子供たちに大変申し訳なく思っているんだよ。…抱きしめられた時、気持ちが伝わって来たんだ。すごく後悔してて……」
舞も頷く
「おじいちゃん、あの家で何があったの?亡くなったのは3人て言ってたよね」
怪談を読んで久し振りに涙が出ました。子どもたちのほうが、ずっと魂レベルが高かったのですね。
ええ子達や🤭
母親の身勝手さにムカつくこれは愛情じゃなく執着。せっかく優しくしてくれたのにどこまでセリザワさんに迷惑かけ倒すねん!と、残念ながら舞さんのように優しい気持ちにはなれんかった。