俺は病院に行きたい
投稿者:八尺マン (46)
長編
2024/04/04
22:46
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まだ奴の顔を確認していない
それを見ないことには何も始まらない
俺の頭にドッペルゲンガーの逸話が浮かぶ
ドッペルゲンガーと目が合うと死んでしまう
もし、あれがドッペルゲンガーなら迂闊に顔を合わせるのは危険だ
だが、このまま何も確認しないではこの問題は永遠に解決しない
俺は悩んだが、奴の顔を確認することにした
幸い、やつが座っている席の先にはお手洗いがある
そこに行く流れで横を通る時にやつの顔をちらっと見てやろう
それなら目を合わすことにはならないはずだ
俺は立ち上がり、お手洗いに向かった
やつは席に座り、モーニングセットを食べている
俺が食べたいと念じていたメニューだ
黙々と食べていて立ち上がるような様子はない
俺は出来るだけ自然にやつの座る席の隣を通り、やつの顔を確認した
そこには・・・
まったく俺とは似つかない顔があった
「あれ・・?」
そっくりの顔があると思っていた
そっくりとは言わないまでも似ている顔があると思っていた
だが、そこに座る男はまったく違う顔だった
目はたれ目で鼻は団子鼻
頬はふっくらと膨らんでいて唇はだいぶ厚い
俺の顔とは似ても似つかなかった
拍子抜けとはこのことだ
「・・・? 何か用ですか?」
男の方が俺に気付いた
声も俺とは違う低い声だった
いきなり立ち止まってジロジロ自分を見る俺に戸惑っている様子だった
「あっ。いえ、なんでもないです。すみません」
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面白かった。ハラハラした。