【short_82】猫の人生
投稿者:kana (210)
猫は一生に一度だけ、人間の言葉を話すという。
先日、私は飼っていた黒猫のリン君に向かって独り言をつぶやいていた。
「猫っていいわよね。毎日好きなだけ寝て、好きな所へ行って、
自由気ままで誰の命令にも従わず・・・うらやましいなぁ~」
それを大人しく聞いていたリンが、まっすぐこっちを見ながらこう言った。
「人間の方がうらやましいよ。なんならボクの身体と入れ替わってみる?」
一瞬「えぇぇー」と驚いたが、愛するリンの事だもの、私はすぐにその言葉を受け入れて、こう応えた。「おもしろそうね!やってましょう!」
するとリンがお尻をフリフリしながら、いつもより激しく頭をガイン!とぶつけてきた。
私は一瞬気を失うような感覚になり・・・ふと気が付くと猫の身体になっていた。
となりには私がいる。正確には私になったリンだ。
そして私になったリンは「にゃーにゃー」と鳴いている。
猫になった私もなにかしゃべろうとするものの、声帯が猫なので、
やっぱりにゃーにゃ―しか話せない。
私になったリンが歩き出す・・・が、まだ2足歩行に慣れてなくて、四つん這いになりながらフラフラ歩く。
逆に私は2足歩行したくても体が4足で歩くように作られているため、
なかなか難しい。4足で歩いた方が早いし、なんなら楽だ。
(ネコの身体に慣れるまで、しばらく時間がかかりそう・・・)
「にゃあぅにゃぁん?」(ところでリン、これどうやったら元に戻れるの?)と聞いてみた。
「にゃー?」・・・私になったリンはやはりにゃーしか言わない。
・・・猫は一生に一度だけ、人間の言葉を話すという。
もしかして・・・これ・・・詰んだ?
・・・私は途方に暮れた。
面白かったです(*´∀`)。
リン君cvはずんだもんで。