本家『ヲヲヲ』
投稿者:バクシマ (40)
三人は暗い夜道を、目指す心霊スポットに向けて歩いた。
鬱蒼(うっそう)とした林道を、スマホの僅かな灯りを頼りに歩いていると、だんだんと心細くなってくる
青「うう、怖いな」
しかし、目当ての心霊スポットは、そう遠くはないはずだ。
赤「あのさぁ」
先頭を歩く青髪に、後ろから赤髪が声をかけた。
青「なに?」
赤「さっきのやつなんだけどさ 『ヲヲヲ』 なんてどう?」
青「その話は、また後にしてくれない?」
赤「そうね、『ヲ』だと別の意味もあるもんね」
青「だから後にしてって言ってるでしょ!!」
……ヲヲヲ……
どこかで聴いたことあるような どこでだっけ?
やがて暗い林道が僅かにひらけたかと思うと、眼前に古めかしい廃墟ホテルが建っていた。
想像していたよりも高い。五、六階はあるだろうか。
青髪は一瞬躊躇したが、そもそも心霊探訪に行こうと言い出したのは自分であったから、廃墟ホテルの中に恐れながらも足を踏み入れて行った。
ホテルの中は、意外にも整然としていた。
埃がところどころ溜まっているが、落書きはないし、荒らされた様子もなかった。
だが、しばらく散策したものの幽霊らしきものには全く出会えない。
青「なんだか拍子抜けだね……」
青髪がそう、ぼやいた時だった。
黄「ええ!? 携帯無いねんけど、どこやったー!?」
なにやら黄髪が不穏なことを言い出した。
青「え、携帯なくしちゃったの?」
黄「嘘やん!? 見てへん!? あかん! ちょっと見てくるわ!!」
青「あ、ちょっと!」
黄髪は懐中電灯を片手に暗闇に消えてしまった。
青「行っちゃった……」
赤「そうね。でも彼女ひとりで行かしたのもちょっと不安だよねぇ。わたし、あの子を追いかけるね」
そう言うと、青髪が声をかける間も無く、赤髪は黄髪を追って廊下の奥深くに走り去って行った。
灯りも持たず。
だが、闇に消える間際、赤髪は青髪の方を振り返り
ハゲドウ!!(kana)
(作者)
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