発祥『ヲヲヲ』

赤髪「ヲヲヲ」

青「……え？」　

今の去り際の言葉……ヲヲヲ？　
なんでいま？
それに、さっき赤髪は『ヲヲヲ』に別の意味があるとか言っていたけれど、どういうこと？　
そもそも知らないわよそんな言葉

しかし、兎にも角にも青髪は一人で廃墟の中を巡らねばならなくなった。
　階段を何度か登る。今は５階あたりだろうか。
周囲は静寂に包まれている。
自分の息遣い以外には何一つとして音がしない。

……あまりにも静かではないか。本当に他の二人はこのホテルの中にいるのだろうか。
非常に心細い。

しかし、突然に自分のすぐ真横から
「ちょっとこれ見ぃ！？」
心臓が口から飛び出そうになった。
飛び跳ねながら声の方を確認してみれば、満面の笑みの黄髪がいた。
黄「ほら、ここ男子便所！　小便器って初めて見たわ　面白いなー」
青「あ、あ〜　男子トイレね」
今日はトイレの話が多いな。
だが、確かに女性の自分達にとっては目新しいものだから、彼女が興奮するのもわかる気がする。

　男子トイレを見渡して見れば、小便器が二つ、そしてトイレには不釣り合いな大きな窓。
窓は全開の状態だった。
風がトイレの中に吹き抜けてくる
視線を窓の下の床に落とす。

赤い一組のハイヒールが丁寧に揃えられていた。

嫌な予感が頭をよぎる。

青「え、これってなに　もしかして」

続きの言葉を出すのが憚られる。
窓の下を覗けば、自分の想像が的中しているか分かるだろう。
だが、それを確かめる勇気はない。
しかも、窓が自分の頭頂近くの高い位置にある。
肩車でもされない限り、窓に顔を差し込むことは出来ないだろう。