古賀様と【忌蛇】
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/03/10
12:21
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大きいもの小さいもの様々な色や柄はあるものの、その全ての頭部は切断されており長い胴体だけが無造作に散らばっています。
階段上り口に立ち尽くし唖然としながらその光景を眺めていると、どこからか人の声が聞こえてきます。
それは嘗て聞き覚えのある念仏のような語り口。
古賀様です。
一番奥のあの部屋から聞こえてきます。
私は蛇たちの死骸を踏まないように用心しながら、まっすぐ歩きました。
襖の前まで行き着くと、ゆっくり開けていきます。
それから徐々に視界に入ってきたもの。
それは、
正面奥の祭壇前で仁王立ちする古賀様。
そして彼の前に正座する白装束の三人。
それは両親と妹でした。
古賀様はあの牡牛の被り物をしており、裸で腰に布切れを巻いているだけです。
その右手には首を断ち切られてなおもくねくねと蠢く蛇の青い胴体が握られています。
三人は餌を待つ鯉のように顔を上げぽっかり口を開いており、古賀様は蛇の切断面から滴るどす黒い血を三人の口の中に順番に落としています。
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古賀さまこそが((( ;゚Д゚)))
普通の一家がカルト宗教に落ちていく話です
─ねこじろう
解説ありがとございます。カルト宗教がらみのヒトコワ話ですが、心霊的な要素も加味されていて、不気味な怖さにゾクゾクしました。グロテスクなだけではなく、妙にエロティックな雰囲気を醸し出しているところも、カルト宗教らしいですね。一家が崩壊していく様、絶望的なラストに思わず声を出してしまいました。
古賀様の存在が最後まであやふやで不気味な感じを持っていただけたら、作品の目論見としては成功としました。
─ねこじろう