ストーカーはいつも近くにいる【partⅢ】
投稿者:ねこじろう (147)
そんなことを考えながら私は信也の手料理をダスターに全て捨てると、玄関そばにある流し台で皿を洗っていた。
すると突然玄関の呼び鈴が鳴った。
ピンポーン
─誰だろう?こんな時間に、、、
玄関ドアの前に立ち「はい」と返事をするが、何の応答もない。
恐々と覗き穴を覗いてみたが誰もいない。
チェーンを外し鍵を開けると、ポトリと小さな紙が落ちた。
拾い上げ折り畳まれたその紙を開き、そこに書かれた文字を見た瞬間ゾワリと背中が粟立つ。
お疲れ様。
残業で晩御飯の準備も出来てなかっただろうと思って、今晩は頑張って料理を作ってみたよ。
レバニラ炒め。
美奈代、好きだったよな。
味はどうだった?
少し味が濃かったかな?
良かったら、また感想聞かせて。
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翌日休みだった私は朝、入社当時から公私に渡りいろいろと相談に乗ってくれている総務のN課長に電話し、この件を相談した。
私の住むマンションは会社契約であり、直接の窓口が総務課ということもあった。
事の重大さを理解してくれた課長は、すぐに管理会社に電話してくれて、その日のうちに鍵を交換することになった。
そして抵抗はあったが、信也に電話をし鍵を変えたこと、後これ以上私の私生活に介入するのなら警察に相談するということを話した。
始めのうち彼は自らの愚行を認めず、さらに驚いたことにしつこく復縁まで迫ってきていたが、やがて私の決意が固いことが分かったのか最後は渋々了承してくれた。
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その翌日から信也の異常な行動は無くなった。
それから平穏な日常がしばらく続いた後の、ある日曜日のこと。
明日が燃えるゴミの日ということで夜私は敷地内にあるゴミステーションにゴミを持っていき、再びエレベーターで3階まで上がると部屋に戻る。
シャワーを浴び夕飯を終え、テレビ横のヘアードレッサーの鏡の前でブラッシングしていた、
まさにその時だった。
何気に鏡越しに背後に視線を移した途端、ゾゾゾと背筋が粟だった。
そこは背後の壁際にある備え付けのクローゼット。
その扉の僅かな隙間から、人影が動いているのが微かに見えるのだ。
無事でよかったです。
まさかの展開((( ;゚Д゚)))