深夜のテレビショッピング【ハリウッドスーツ】
投稿者:ねこじろう (147)
しばらくの間彼女は首を少し傾けながらブラシで長い髪をとかすと、次は鏡に映っている自分の顔を点検するように俯いたり横を向いたり舌を出してみたりしていた。
それから両手の指を頭のてっぺん辺りに当て、頭を洗っているかのように動かし始めた。
それは頭部のどこかの場所を探しているかのようにも見える。
─ん?何をしているんだ?
Sさんは彼女の動きを注視した。
やがて指の動きは止まり、しばらく両手で頭を抱えた状態でじっとしていた。
その後目の前で起こったことに、彼はあまりのショックで体の震えが止まらなくなった。
信じられないことだが女の頭頂部には小さな亀裂ができ、それは徐々に下側に走っていくと終いに頭部は左右に大きく裂け、まるでサナギから脱皮する蝶のように中から新たな何かが現れてきた。
それは艶のない白髪交じりの女性の頭部。
鏡には、さっきの女とは似ても似つかぬ痩せた女が映っている。
額には深い横じわがあり目はミミズのように細く、顔のあちこちにシミや小じわ、弛みが見える。
次に女は両手を背中の辺りに両手を当てる。
するとまたそこから皮膚が裂け、さっきまで魅惑的だった女の肢体はあたかもボディースーツのように脱ぎ去られストンと足元に落ちた。
中から現れたのは痩せてだらしない女性の体だった。
背中にはあちこちにシミがあり、胸とお尻は重力に抗しきれずやや垂れ下がり腹回りにはそれなりの脂肪がついている。
Sさんの口から思わず漏れる言葉。
─俺の母ちゃんと一緒やないか、、、
それからその女は洗面台にある携帯電話を手に取り指で操作した後、耳に当てた。
「あ、会員番号1427の榊原です。
先ほど終わりました。
御社の商品『ハリウッドスーツ』で、おかげさまで本当に素晴らしい体験をさせていただきました。
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ええ、男のかたは全く気がついてなかったみたいです。
ジェネレーションギャップがあるだろうから会話についていけなくなるのでは?という不安があったので早めに酔ったふりをして甘えてみたら、向こうもすぐ乗ってきてくれたから良かったです。
本当にドラマのヒロインになれたような素敵なひと時を楽しめました。
今度は御社のご準備された場面別の会話マニュアルでもうちょっと勉強させてもらって、さらに洗練された大人の会話を楽しみたいですね。
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あ~!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
ワロタ
最近エロ同人やコミックである皮を被る系
確かに気づいたら怖い系の話になるよな(笑)、角度変えるとこんな話も作れるとは!
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
ハンサムスーツかな?
女版ハンサムスーツとでも言いますか
─ねこじろう