「……いらっしゃい…。」
朦朧とする意識の中、あの老婆の声が響く。
「これはね、”死ぬ前の感情”」だよ。
こっちが話す間もなく、老婆は言葉を続ける。
(死ぬ…前って……?)
ギシ……!!ギシ……!!
あの音が畳み掛ける。
「お前が望んだことじゃないのか……?」
狭くなった視界で、老婆がニヤリと笑うのが見える。
(望んだって……)
ギシ……!!ギシギシッ!!ジジ……!!ギシ!!
(……!?)
音がピタリと止む。
(……そうか、そうだったな……。)
「思い出したかい…」と、老婆。
「お前はね、首を吊ったんだよ。まぁ、元々死んだようなもんだったさ。感情のない人間なんてね…」
ギシ!!ギシ!!
(ゲホッ……!!はぁ……!!)
心臓を鷲掴みにされたような痛みに襲われる。
ギシ!!ギシ!!
(だのむ……!たすげてくれ……!!)
「助けてって……」
老婆が不気味な笑みを浮かべる。
「死神に助けを求めるのかい……?!
あんたは、助けを乞うべきだったんだよ……あたしじゃなくて、現世にいる間にね……!」
老婆が顔を覗く。
「今からお前は地獄に落ちるんだよ。自ら死を選んだんだからねぇ」
ギシ!! ギシ!!
(嫌だ……!!)
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おばあちゃんの死神?
弟さんが助けにきてくれたのですね
rarkです。コメントありがとうございます。