【short_38】トイプードル
投稿者:kana (210)
学校からの帰り道。横断歩道で信号待ち。
隣には白いワンピースを着た女性。
彼女が茶色のトイプードルを抱えてる。(カ・・・カワイイ!!)
思わず頬が緩んでニヤける。
トイプーが、黒いまんまるのお目目でこっちを見つめてくる。(た、たまらん・・・!)
しばらく見つめあっていると、女性の持ち方が悪いせいで、
トイプーがイヤイヤをはじめ、短い腕でとうとう女性の腕から逃げてしまった。
「あっ!!」クルマが走る車道にトイプーが元気よく走り出す。
私は咄嗟に助けなきゃ! と、後を追って車道に飛び出した。
急ブレーキの音、クルマは止まってくれたが、トイプーはまだ逃げる。
まるで追いかけっこを楽しんでいるかのよう。縦横無尽に走り回る。
「はやく捕まえなきゃ!!」・・・その時の私には周りは何も見えていない。
やがてトイプーは横断歩道上でちょこんとお座り。
「チャンス!!」私は身体を投げ出すようにしてその子を捕まえようとした。
「きゃああああ!」周囲であがる叫び声。
私に向かって大型ダンプが・・・その瞬間、私はどうすることもできず身をかがめ、
仔犬に覆いかぶさった。・・・しばしの沈黙。・・・まるで永遠のような一瞬。
大型ダンプは寸でのところで停まってくれていた。
私の頭の横にバンパーが・・・。
やっと捕まえたと思ったトイプーは、また私の手をすり抜けて、
目の前の歩道でこっちをじーっと見つめている。
・・・が、その顔ときたら、まるで鬼の形相で、こう吐き捨てた。
「あとちょっとでミンチが食えたのになぁぁぁぁっ!!」
私は震えながら、その場を逃げ出していた。
サッカー日本対バーレーン視聴中に投稿!!
ええ感じや