しゃべるサボテン
投稿者:となりのコロロ (9)
私がまだ小さいときの話。
マンションの一室に住んでいた私のおばあちゃんはベランダでサボテンを育てていた。
それほど大きいものでもなく、マグカップのような植木鉢にすっぽり入る小さなサボテンだった。
私はそのサボテンを見るのが好きでよくベランダに出ては眺めていたのだが、針が怖くて触ったことは一度もなかった。
とある日、私は意を決してサボテンを触ってみることにした。
すると、
「アアッー」
と甲高い声が聞こえた。
また触ると、
「アアッー」
二度触ると、
「アアッー、アアッー」
びっくりした私は急いで家に上がり、リビングにいたおばあちゃんを呼び出した。
「おばあちゃんサボテンがしゃべった!早く来て!」
困惑した様子のおばあちゃんの手を引いて私は急いでベランダに向かった。
「さっき触ったらサボテンが鳴き声上げたんだよ」
と言って、私はそっとサボテンをつついてみたがあの声は聞こえてこなかった。
おばあちゃんも子供のいたずらと思ったのか、
「ほんとやね~、かわいい鳴き声やね~」
みたいなことを言ってリビングへと戻ってしまった。
そのあとも何度かサボテンを触ってみたが声が聞こえることは結局一度もなかった。
それから何日か経ったあと、私が飽きもせずサボテンを触っていると
「アアッー」
再びあの声が聞こえてきた。
私はそのとき、またサボテンがしゃっべてくれたことへの喜びもあったが、おばあちゃんに見せてやりたいという気持ちが強くあった。
(急いでリビングに持っていこう!)
そう思い、私が植木鉢を持ち上げて振り向きかけた瞬間
「アッアアアアアアアッアッアッアアアアッアッアッアアアアアアッア」
いままで聞いたことないぐらい激しい鳴き声に私は驚いた。
しかし、それ以上に防火壁の隙間からおじさんがこちらをじっと見て、あの聴きなじみのある声を上げていたことに私は戦慄した。
生きてるおじさん!?死んでるおじさん!?
生きているおじさんだったら怖