ミミズ人間
投稿者:綿貫 一 (31)
長編
2023/12/26
09:34
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なんなのもう。
ふりかえると、そこには踏切があった。
踏切の向こうにも、鏡写しのように、こっち側と同じ真っ暗な家々と、まっすぐな路地が続いている。
赤いライトが激しく点滅している。
でも、遮断機は上がったままだ。
カンカンカンカン――。
カンカンカンカン――。
――もぞり
踏切の向こうの路面で、何か動いた。
なんだろう? 酔っぱらいの人が、道端で寝ていたのかな?
――もぞり
それは、身体をアスファルトに横たえたまま、少しだけこちらに近づいた。
手足を縛られた人間が、身体をよじってにじり寄ってくる感じ。
昔、皆でキャンプに行った時に、寝袋に入ったままふざけた時に、あんな動きになったなぁ。
――もぞり
ねえ、なんでそんな、気持ちの悪い動き方すんの?
ひょっとして病気の人?
具合悪くて立って歩けないとか?
――もぞり
――もぞり
やだもう、見たくない。
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kanaです。綿貫さんはいいお話いっぱい書いてますよね。素晴らしいです。
綿貫です。kana様、ありがとうございます。恐縮です。