狐の窓
投稿者:綿貫 一 (31)
狐の窓でキョロキョロ辺りを見回しますが、やっぱりなにも見えないようです。
しまいには、「おかしいな、なにか見えた気がしたんだけど……」と、自信なげにつぶやきました。
いったい、なんだったのでしょう?
次はプールの女子更衣室です。
ここには、プールで溺れた女子の幽霊が出るんだそうです。
びしょびしょに濡れた水着姿のそいつを見ると、プールに引きずり込まれてしまうとか……。
それにしても、どうして女子更衣室にだけ出るのでしょうか。
こわい目にあわせるなら、男女平等にしてほしいものです。
「じゃあ、いくよ?
1、
2の、
3!」
さっきと同じように、ふたりして同時に覗きこむと、
「あ、また!」
また、マホちゃんが声を上げました。
「やっぱり見えたよ、黒くてモヤモヤしたもの!
すぐ消えちゃったけど、煙のかたまりっていうか、黒い炎っていうか、とにかくそんなの!」
どうやら女子トイレで見たのと同じものみたいだったと、彼女は言っているようです。
わたしは一向に見えませんが、もしかしたらマホちゃんは、そういう怖いものと感覚が合ってきているのかもしれません。
そう思うと、わたしはもう帰りたくてたまりませんでした。
そう、帰りたい……だいたい、今日急いで日直の日誌を書いていたのは、用事があったからで……。
「あ! ヤバい!」
急にわたしが大きな声を出したので、今度はマホちゃんが飛び上がりました。
「なに、どうしたの?」
「ゴメン! わたし今日、親戚が遊びに来て、みんなで一緒に外でご飯食べるんだった! 早く帰らなきゃ!」
わたしは、慌てて事情を説明しました。
さすがにここまで付き合ったわたしが言うことを、言い訳のための嘘だとは思わなかったらしく、マホちゃんは、素直にわたしを解放してくれました。
ところが。
「じゃあ、最後の一ヶ所だけは、わたしひとりで行ってくるね」
彼女はそう言いました。
予想外の展開でゾッとしました…(;´Д`)
面白かった
うわぁ。
まさかの展開。
でも、現実は、案外こんなものかも知れませんね。
狐の窓のおまじないが役に立って結果的に良かった。
予想外の怖さがありました( ̄□||||!!
おまじないに興じるマホちゃんも実は大人をしっかり観察して可能な限り合理的な判断を下せるとても賢い子だったんですね。バッドエンドじゃなくて良かった。