狐の窓
投稿者:綿貫 一 (31)
それを聞いたわたしは驚いて、「もう校舎も暗いから一緒に帰ろう」と誘いましたが、マホちゃんは聞きません。
「バイバイ! 明日、結果を教えてあげるから!」
そう言いながらマホちゃんは、走って校舎の奥に消えていきました。
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次の日、マホちゃんは学校を休みました。
次の日も、その次の日も休みました。
担任の瀬川先生が言うことには、マホちゃんは風邪をひいて、それが長引いているそうです。
本当でしょうか?
あの放課後の七不思議探検の次の日から、三日も続けて休むなんて、不自然すぎます。
まさか、狐の窓で、なにかよくないものを見てしまったのでしょうか?
わたしはどんどん不安になりました。
そして、次の日のこと。
マホちゃんは学校に来ました。
いつも一番早く登校するわたしより、早くに教室にいたのです。
わたしは、マホちゃんに駆け寄りました。
「マホちゃん、大丈夫だった?
わたし、てっきり……」
「わたしが、入院してるか、行方不明にでもなってるって思ったんでしょう?」
マホちゃんは笑いましたが、その顔はいつもよりも白く、元気がないように見えます。
わたしは、あの日、わたしと別れたあとに何があったのか、ききました。
マホちゃんは、暗い顔で話し始めました。
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あの日、マホちゃんが最後に向かったのは、三階と二階をつなぐ階段の踊り場にある、大鏡の前でした。
その大鏡は、放課後になるとおばけの世界とつながる通路になるんだそうです。
だから、その時鏡の前にいると、おばけに捕まって、鏡の中に連れていかれてしまうのだとか。
よりにもよってマホちゃんは、その大鏡の前で、鏡に映る自分の姿に向かって、狐の窓を覗いたんだそうです。
すると突然、強い力で肩をつかまれました。
マホちゃんが恐怖で固まっていると、指のすきまから見える鏡の中に、黒いモヤモヤしたものに顔全体を覆われた、背の高い誰かが、マホちゃんの肩をつかんでいるのが見えたそうです。
予想外の展開でゾッとしました…(;´Д`)
面白かった
うわぁ。
まさかの展開。
でも、現実は、案外こんなものかも知れませんね。
狐の窓のおまじないが役に立って結果的に良かった。
予想外の怖さがありました( ̄□||||!!
おまじないに興じるマホちゃんも実は大人をしっかり観察して可能な限り合理的な判断を下せるとても賢い子だったんですね。バッドエンドじゃなくて良かった。