狐の窓
投稿者:綿貫 一 (31)
けれど、マホちゃんは納得がいかない様子でした。
「ここはハズレみたい。次いこ、次!」
ハズレ呼ばわりされた七不思議も、なんだかかわいそうです。
次にわたしたちは、四階の音楽室の前までやってきました。
ここには、壁に飾られたベートーベンの絵が、こちらをにらんでくる、という怪談があります。
ところが。
音楽室からは、合唱部の歌声が聞こえてきます。
大会に向けて、部活の練習が続いているようです。
こうなると、おまじないも七不思議もありません。
わたしたちはあきらめて、別の場所に向かうことにしました。
しかし、その後も、体育倉庫はバスケ部が体育館を使っていて入れず、放送室は鍵がかけられていたために、どうしようもありませんでした。
実験も、意外と難しいものです。
それでもあきらめないマホちゃんは、今度は旧校舎の一階の隅にある、女子トイレにやって来ました。
ここにはあの有名な、トイレの花子さんが出るという噂があります。
日が射さず、真っ暗なトイレに電気を点けて、わたしたちは足を踏み入れました。
旧校舎ということで、あまり利用する生徒はいませんが、それでも設備自体は壊れているわけではありません。
ただ、蛍光灯はチカチカと点滅して今にも切れそうで、それが不気味でした。
マホちゃんはわざわざ、花子さんが出るという一番奥の個室のドアを開いてから、わたしに狐の窓の準備をするよう言いました。
「じゃあ、いくよ?
1、
2の、
3!」
わたしたちが覗いた瞬間です。
「あ!」
わたしには何も見えませんでしたが、合図を出したマホちゃん自身が、驚いた声を上げました。
わたしはそのマホちゃんの声にびっくりして飛び上がりました。
「なに、なに! どうしたの?」
「なんか見えた! なんか!
黒くて、モヤモヤしたもの! 天井のところになんか……あれ?」
はじめのうちこそ興奮した口ぶりだったマホちゃんでしたが、すぐに首をかしげてしまいました。
予想外の展開でゾッとしました…(;´Д`)
面白かった
うわぁ。
まさかの展開。
でも、現実は、案外こんなものかも知れませんね。
狐の窓のおまじないが役に立って結果的に良かった。
予想外の怖さがありました( ̄□||||!!
おまじないに興じるマホちゃんも実は大人をしっかり観察して可能な限り合理的な判断を下せるとても賢い子だったんですね。バッドエンドじゃなくて良かった。