「は、はい・・・」二人の歌声が静かに響き渡る中、朽屋が呪文を唱えながら男に手の平をかざす。やがて男は青い光に包まれ、小さな光の粒子となって、渦を巻きながら徐々に天に昇って行った。
登って行った先からまばゆい光がこぼれる。世界が一気にホワイトアウトする。
まぶしくて目が開けられない。
「ルコちゃん!!ルコちゃん!!大丈夫だった?」貴澄頼子の声だ。だんだん目が慣れて見えてくると、その横にルーカ神父もいた。
「うわ~~~~ん、怖かったよぉぉぉ!!」白鳥は思わず亀井に抱きついた。
ルーカ神父「これから私のガーゴイルを結界内に突入させるつもりだったのだが、どうやら解決できたようだね。もうすぐ警察も来る。どうだ、この崖を登って来れるか?」
ΩΩΩ/「大丈夫でーす!」
三人はそう言うと、崖を登る前に事故車の運転席に向かってお祈りをした。
・・・・・・
詳しい報告はまた今度・・・ということで、事故現場をルーカ神父に任せ、4人は山の上の教会を目指した。20分ほど歩くと教会が見えてきた。
関所を通過したことを証明するスタンプをもらい、土だらけの手を洗うと、4人は講堂に入って行った。そこは臨時の食堂のようになっており「強行遠足名物・山の上のうどん」を作ってくれるPTAの方たちもいた。
朽屋「なんだろ・・・気のせいかあんまりお腹減ってないな?」
白鳥「さっきデッカイおにぎり食べたからですよ!!」
朽屋「ああ~~。なるほど」
亀井「ご、ごめんなさい・・・」
朽屋「いやいや、亀井さんはあやまんなくていいよ! あの時は本当に助かったんだから」
白鳥「そうよ!すごくおいしかったし!・・・ワタクシ、御うどんもいただきます!」
頼子「なにみんな、食欲ないのかしら?」
すると亀井は頼子にもおにぎりを差し出した。
亀井「あの、これよかったらどうぞ」
頼子「うわー、ありがとう!! ・・・爆弾・・・じゃないわよね?」
亀井「ブフッ。大丈夫です。まだあと3つありますし」
朽屋「ん?ちょっと待って?・・・異世界でオジサンを含め4個消費して、今頼子ちゃんに1個渡して合計5個・・・だったらあと5個残ってるんじゃないの?」
亀井「いえ、あの時ワタシ、3個食べましたから・・・」
朽屋「おみそれしました」
・・・・・・
朽屋「さて・・・みなさん、食べたし、行きますか」
頼子「ちょっと待って・・・おなかいっぱいで動けない・・・」
朽屋「もう~、亀井さんを見てください! 完食ですよ! おにぎり在庫0です!!」






















kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。
よくわからないんですが、頼子ちゃんって幽霊じゃなっかったんですか、、、
頼子さんって幽霊じゃなかったけ?