亀井の横で拍手している白鳥。
頼子「おみそれしました」
朽屋「ま、ノンビリ行こうか」
朽屋たち一行はやっとのことで山の上の教会を後にした。やっと行程の半分である。
朽屋をライバル視していた運動部員たちは、すでにほぼ全員がゴールしており、朽屋が来なかったことに失望しつつ、帰りのバスに乗り込んでいた。
ΩΩΩ〉「くっそー!!クッチャルコめっ!!」
朽屋たち一行は、明らかにスピードが落ちていた。亀井のスピードが最初より落ちているのはもちろん、白鳥のスピードまで落ちていた。
白鳥の顔が暗い。
「ん?どうした、白鳥さん。かなりシンドそうだね。そろそろ足も痛い頃かな?」
白鳥「ハイ・・・それが・・・足首のあたりが痛くて」
朽屋「ん?ふつうはみんな太ももが痛いとか言い出すんだけどな・・・どれ、ちょっとおじさんに見せてごらん?」
頼子「ルコちゃん、言い方!!」
ジャージのズボンをめくり、靴下を降ろして見ると、白鳥の足首のあたりが赤くなっているのが見える。どうやら、崖下に滑り落ちた時に痛めたらしい。
朽屋「うーん、骨折はしてないみたいだけど、捻挫・・・捻挫っていうほどでもないけど、歩き続けるのはあんまりよくないかもね。どうしよっか。さっきの関所の所まで戻ってリタイヤ申請するか?」
頼子「待って、関所まで戻るんなら、あともう少しでゴールだから、いっそ我慢してゴールしてもいいんじゃない?」
朽屋が頼子に耳打ちした。(ねぇ、ヒーリングかけて治してやってよ)
頼子も耳打ちで返す(ダメよそんなことしちゃ!カンニングと同じ!!ダメです!!)
舌を出す朽屋(ベーだ!イケズ!)
舌を出し返す頼子(べーっ、子供かっ)
白鳥「だ、大丈夫です、あと少しくらい、歩けます。行けます」
朽屋「そうか?歩いてみるか?ゆっくりな。痛かったらすぐ言うんだぞ」
そう励まして、朽屋一行はまた出発した。湖はもう少し・・・ただその前に、地獄の5連続ヘアピンが待っていた。
朽屋「くっそー、走り屋の血が騒ぐぜ」
頼子「ルコちゃんの場合は本当に走るだけの走り屋だけどね」
その時、白鳥がぽろぽろと涙を流しはじめた。
「うっ・・・イタイ・・・」
朽屋は歩くのをやめさせ、再び白鳥の患部を見た。やはり先ほどよりも赤みが増している。
「やっぱり、リタイアしようか・・・ここで待機してて。私が走ってゴールまで行って先生呼んでくるから」
頼子「そうね、それが一番早そう。走り屋の足を見せてもらおうかしら」
白鳥「わぁぁぁん、悔しいよぉ~・・・ごめんね、亀井さん・・・昨日あなたのこと足手まといになるとか、遅いとかさんざんヒドイこと言ったのに、みんなの足を引っ張ってるのは私じゃない・・・本当にごめんなさい・・・わぁぁぁぁん」























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。
よくわからないんですが、頼子ちゃんって幽霊じゃなっかったんですか、、、
頼子さんって幽霊じゃなかったけ?