朽屋「白鳥さん、考えるんじゃなく、感じるんだ。私たちはさっきまでいた世界とは違う世界にいる。ここは6月の昼間ではなく、11月の夜だってこと」
3人は話しながら、火が見える方へ向かって歩いた。
白鳥「あっ、湖が見える!!・・・これ、強行遠足のゴール地点になってる湖じゃ!?」
確かに周囲にある建物や看板などにその湖の名前がある。3人は異次元世界に迷い込んだように見えつつ、場所的にはそれほど遠くない所に飛ばされたとも考えられた。
火はキャンパーの焚火だった。どうやらここでソロキャンプを張っている男性のようだ。
朽屋「こんばんわ~突然オジャマします~」
男「おやおや、こんな夜更けに、若い女の子たちが集まってくるなんて、オジサンまだまだ男の色気があるのかな?」
思ったより話せる人みたいだ。
男「どうぞ、ほら、そのへんにブロックとか丸太とかあるから、自分の椅子を作って、火の回りにおいで。今お茶淹れてあげるよ」
どうやらいい人そうだ。
男「なにか食べものでも持ってるかい?」
白鳥「いいえ・・・教会で御うどん食べるつもりだったから・・・オヤツくらいしか」
朽屋「私も。アメちゃんくらいしか」
亀井「おにぎり10個ありますw・・・みんなで食べてください・・・ちゃんとラップにつつんで握って、アルミホイルにくるんできたから・・・きれいです」そう言ってリュックからおにぎりを出してみんなに配り始めた。このおにぎりがまた1個がデカイ。コンビニおにぎり3個分はありそう。
朽屋「わー!ありがとう亀井さん~大好き!!」
白鳥「ありがと~~まさか亀井さんからおにぎり貰えるなんて・・・ホント言うとお腹ペコペコでどうしようかと思ってたの~亀井さんがいっぱい作って来てくれたことに感謝します」
男「えっ、ボクにもくれるのかい?ありがたやありがたや・・・お茶が入ったから皆さん飲んでください。使い捨てカップで悪いけど。あと酒のつまみみたいなお菓子しかないけど、よかったらどうぞ」
ΩΩΩ「ありがとうございまーす!!」
白鳥「うわっ、おにぎりの中から卵焼きとウインナーが出てきた!!」
朽屋「最強の組み合わせやないかい」
男「これは・・・酒が欲しくなるねぇ」
亀井「ま、任せてください。おいしいものはデブが一番よく知ってるんで・・・デュフ」
男「ボクはスコッチをすこっちだけやらせてもらうよ」そう言ってウイスキーの入ったスキットルボトルを口にした。
白鳥がオヤジギャクにバカ受けして声を殺して笑い転げている。
朽屋「オジサンはいつもこんなキャンプをしてるんですか?」
男「あぁ、一人が好きでね。とくにこの湖のほとりが大好きでね。わかるかい?」
亀井「ほ、星がキレイに見えるから・・・」
男「おお、わかってるねぇ~。湖のほとりってさ、つまり水面だからさ、灯りになる建物はないし、クルマは走らないし、夜は真っ暗だから星がキレイに見えるんだよ。よーく目を凝らしてごらん。天の川だって見えるんだ」
亀井「本当ですねー」
白鳥「えーどこどこ~」

























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。
よくわからないんですが、頼子ちゃんって幽霊じゃなっかったんですか、、、
頼子さんって幽霊じゃなかったけ?