金木犀の足
投稿者:月子 (9)
短編
2023/11/01
23:55
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香りも楽しめるくらいの、
金木犀の終わりかけの日でした。
あの日も、私は死にかけになりながら
走っていました。
いつも一緒にだらだらと走ってくれる友人が
まさかのインフルエンザになり欠席していたので
1人でマイペースに走っていたときのこと。
もうそろしんどいわ、と思っていた、
ちょうどそこにいつもの金木犀が見えてきました。
今回もおじゃましようとスピードを落として、
近付いてから、先客がいることに気付きました。
多くの花が散ってしまって、
濃い橙色の絨毯のように彩られた木の根元に、
足が見えたのです。
足は、インフルエンザで休んでいるはずの
友人のスニーカーを履いていました。
靴くらい被ることだってあるだろうとお思いに
なられたことだろうと思います。
でも、ヤツのスニーカーは、
私とヤツのイニシャルを、デカデカと
踵部分に書き合った、ある意味オリジナルのものなんですよ。
先客のスニーカーの踵に書かれている『N.M』は
確かに私の、クセのある筆跡でした。
ヤツは今日居ないはずなのに、何こいつ。
なんでヤツのスニーカーなの。
走っている間に熱を持った体が、
瞬時に冷え切りました。
見間違いであることを願って、
もう一度スニーカーを見たときには
先ほど見えていた踵部分ではなく、
この話は怖かったですか?
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kamaです。月子さんの作品は毎回とても美しいですね。プロの小説家さんの作品を読んでいるような感覚を覚えます。どうやったらこんなにきれいな文章がかけるんだろう・・・と感心しながら読んでます。
作者の月子です。
kama様、この度は作品をお読みいただき、
まことにありがとうございました。
お読みいただいただけでなく、お褒めの言葉までくださり、本当に光栄に思っております。
おかげで今日の学校も頑張れました。
kama様のような方が読んでくださっているのなら、書き甲斐があります。
ではまたどこかで。