「朽屋姐さぁぁぁぁん!!」手にしたトカレフをかなぐり捨てて、九郎が走り寄る。
朽屋の顔を覗き込んで、次に自分の膝をそろえて膝枕を作り、そこに朽屋の頭を乗せた。
「姐さん、ケガは・・・」
そこに頼子がやってくる。「大丈夫よ。いつものことだもの。私は貴澄 頼子。このお姉さんの幼馴染ってトコ。あなたは?」
「ボクは九郎。朽屋姐さんの弟子です・・・」
「クロウ?・・・カラス?・・・あら、それはルコちゃんには縁のあるお名前ね」
つぐみ隊が朽屋の所にも来る。
「救護班です。念のため朽屋少佐は医療施設へ運び検査いたします」
「了解、私たちも付いて行って良いかしら? ね、クロウ君」
「ハイ!」
・・・・・・
翌日になって、この事件は日本を揺るがすような大事件として報道された。
『渋谷にある暴力団組織内で抗争による撃ちあい、死者多数』
『組長派と若頭派による権力闘争の末・・・」
『拳銃・機関銃・日本刀などの武器を多数押収、警察はその出どころの調査に・・・』
『深夜の花火大会!?いいえ、トカレフです! 未明の撃ちあいで死者50名??』
翌日からつぐみ隊の撤退と入れ替わるように警察隊が入り込み、事件現場を固めた。
もちろんつぐみ隊は魔物の痕跡をひとつも残していない。
警察は暴力団組織内の派閥抗争ということでこの事件を早急に終わらせたいようだ。
組長を被疑者死亡のまま書類送検した。
尚、病気とケガの治療で入院中の若は無実であるとされ、逮捕は免れた。
これだけの騒ぎを起こしたのである。組はいったん解散となった。
・・・だが、若が無事に生きているのである。組の復活は時間の問題でもあった。
忍足は組織の病院に入院。しばらく頼子がつきっきりでヒーリングを送るなどして回復傾向。
体中に骨折や切り傷、刺し傷など多数あったが、分厚い脂肪が幸いしたのか、内臓までに至る傷はなく、一命を取り留めた。
・・・・・・
コンコンコン・・・車の窓を叩く音。
「ん?・・・んぁぁ」ヴィンセント三上は目を覚ました。
どうやら昨晩はクルマの中で眠ってしまったらしい。
「えぇっ? ぁぁぁ」起きて動揺が走る。
窓を叩いているのは警官だった。
「運転手さんスイマセン、緊急車両通りますので、道をあけていただけますか?」
























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて?
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。
これを初めて読んだんですけど面白かったです!
他のも見てきますw
文体が面白いだけでなく、作者の深い知識に感心させられる。
アクションの表現もいいので一気に読んでしまう。
シリーズの他の作品も急いで読みたいし、今後も追いたいと思った。