胸糞悪い話ですみません
投稿者:竹倉 (9)
短編
2023/08/25
21:29
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待てよ。
今朝まで皆同じ寝床にいたし、同じご飯を食べていたはずだ。
何故だ?
何故こんなことに?
むぎはとても優しい性格で、当時子猫であったこめを迎え入れた際も非常に温情を施してくれていた。
こめは勝ち気が強い傾向はあったが、常に兄と寄り添って生活してきた。
そして2匹共にそばを可愛がり、そばもまた兄達に非常に懐いている。
正直、頭が真っ白になった。
猫という動物はとりわけ縄張り意識が強い動物であることはわかってはいた。
それでもこれまで何事もなく上手くやってこれたではないか!
そばを迎えた事で何かしらのパワーバランスが崩れたとでもいうのか……?生活環境の変化?
私がこの結果を招いてしまったのか……?
渦中の猫を見れば、再度こめがむぎに襲いかかろうとしていた。
あの優しい兄猫に怪我をさせた弟猫に対して、憎しみに似た黒い感情が溢れ出る。
この時、自分の中のタガが外れたように思う。
鋭利な刃物の如く研ぎ澄まされた爪に負傷しながらも、強引に2匹を引き離し、渾身の力を持って自分の手のひらをこめの頭上に振り下ろした。
何度も。何度も。なんども!!
それでも威嚇をやめない弟猫に対して何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も必要以上にビンタを繰り出していた。
恐らくこめがそうであったように、私も呪詛に取り憑かれ我を忘れていたのだと思う。
ダレカトメテクレ…………
そう思った。
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