その後Sはシャワーを浴びN美の隣に横たわると、電気を消す。
それからどれくらいの時が過ぎた頃か、彼はうなされながら突然目を覚ました。
どうやら悪夢を見ていたらしい。
枕元に置いた携帯に目をやると、時刻は深夜2時を過ぎている。
隣を向くと、仰向けのまま熟睡しているN美の姿があった。
彼はホッと息をつき水でも飲もうとベッドから降り、暗闇の中壁際にある冷蔵庫まで歩く。
そしてその扉を開いた時だった。
「うわっ!」
彼は小さな悲鳴をあげ、そのまま尻餅をついた。
心拍数が一気にマックスになる。
Sの視線の先、小さな白い冷蔵庫の中には男の生首があった。
茶髪で色白の若い男の頭部だけがそこにはある。
その顔は何か言いたげに大きく目を見開き、口は半開きにしている。
Sが恐怖のあまり動けずにいると、信じられないことに、その口から微かに声が聞こえてきた。
タ、タスケテ、、アノ、オンナ、クルッテル
アノ、オンナ、、クルッテル、、
アノ、オンナ、、、
「あの女狂ってる?」
Sが男の言葉を復唱した。
それだけ言うと首だけの若い男は、静かに瞳と口を閉じた。
そしてSが再び見たとき、その若い男の生首はなかった。
呆然と放心したまま座り込でいた彼は、おかしな匂いを鼻腔に感じる。
それは入室した時にも感じた、焦げ臭い匂い。
しかも最初の時よりも強くなっており、咳き込むほどだ。
ただならぬ気配を背後に感じた彼は思わず振り向くと、眼前に広がる光景に小さな悲鳴を上げてのけぞる。
Sの背後はいつの間にか青白い炎に囲まれていた。
炎の勢いは強く、既に間近に迫っている。
慌てて立ち上がった彼が「N美!」と叫び、ベッドの方を見る。
そして炎に包まれたベッドの前に黒い人影があるのに気付いた。
「N美?」
























ねこじろうさんの作品は本当に引き込まれるし、いつも楽しみにしてます。
ありがとうございます。
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彼女は、とりつかれてしまったのか((( ;゚Д゚)))