奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

山あいのラブホでの一夜
長編 2023/08/22 16:15 25,722view
3

その後Sはシャワーを浴びN美の隣に横たわると、電気を消す。

それからどれくらいの時が過ぎた頃か、彼はうなされながら突然目を覚ました。
どうやら悪夢を見ていたらしい。

枕元に置いた携帯に目をやると、時刻は深夜2時を過ぎている。

隣を向くと、仰向けのまま熟睡しているN美の姿があった。

彼はホッと息をつき水でも飲もうとベッドから降り、暗闇の中壁際にある冷蔵庫まで歩く。

そしてその扉を開いた時だった。

「うわっ!」

彼は小さな悲鳴をあげ、そのまま尻餅をついた。

心拍数が一気にマックスになる。

Sの視線の先、小さな白い冷蔵庫の中には男の生首があった。

茶髪で色白の若い男の頭部だけがそこにはある。

その顔は何か言いたげに大きく目を見開き、口は半開きにしている。

Sが恐怖のあまり動けずにいると、信じられないことに、その口から微かに声が聞こえてきた。

タ、タスケテ、、アノ、オンナ、クルッテル

アノ、オンナ、、クルッテル、、

アノ、オンナ、、、

「あの女狂ってる?」

Sが男の言葉を復唱した。

それだけ言うと首だけの若い男は、静かに瞳と口を閉じた。

そしてSが再び見たとき、その若い男の生首はなかった。

呆然と放心したまま座り込でいた彼は、おかしな匂いを鼻腔に感じる。

それは入室した時にも感じた、焦げ臭い匂い。

しかも最初の時よりも強くなっており、咳き込むほどだ。

ただならぬ気配を背後に感じた彼は思わず振り向くと、眼前に広がる光景に小さな悲鳴を上げてのけぞる。

Sの背後はいつの間にか青白い炎に囲まれていた。

炎の勢いは強く、既に間近に迫っている。

慌てて立ち上がった彼が「N美!」と叫び、ベッドの方を見る。

そして炎に包まれたベッドの前に黒い人影があるのに気付いた。

「N美?」

5/7
コメント(3)
  • ねこじろうさんの作品は本当に引き込まれるし、いつも楽しみにしてます。

    2023/08/23/16:54
  • ありがとうございます。
    創作の励みになります!

    2023/08/23/19:07
  • 彼女は、とりつかれてしまったのか((( ;゚Д゚)))

    2024/02/27/21:52

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。