九尾伝説
投稿者:イエティ (51)
短編
2021/03/10
13:45
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分かれ道があり、左側はどうも人が二人通れる広さではない。
右側は少し湿っているが、難なく進めるだろう。
トキさんにそれを言おうとしたが、
気付いたころには左側へと歩きだしていた。
「どうしてそっちに行くの」
「呼ばれているからよ」
「狐の神様に呼ばれているの?」
「そう、位の高い神様」
慌てて追いかけたが、狭すぎて、なかなか追いつけない。
トキさんは既にこの狭い抜け穴を超えたようで、姿は見えない。
少し経って、やっとこの狭さから抜け出した。
ひと際、青色が強くなった気がして、ふと見渡す。
そこには、淡い青色に輝く、大きな大きな狐がいた。
9本のしっぽをゆらゆらと揺らしながら、
「何が欲しい。何が望みだ」
「帰る道を知りたい。迷ったんだ。」
狐が目をつむると、頭の中に帰り道の道のりが流れ込んできた。
「これでは贄の2割にもならんな。貴様の血筋に富を与える」
「では、去れ」
言われるがままに、元来た道を戻り、家に帰った。
心配していた家族に抱きしめられ、眠ろうとした。
しかし、狐に言われた最後の言葉が頭に響いて眠れない。
「やはり、巫女の血は美味い。」
トキさんはそれ以降、行方不明のまま見つかることはなかった。
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切ねえ…
寺にも巫女が居てるんだ!
キツネは残忍ですね