女子大生梨乃─悪夢のヒッチハイク旅行
投稿者:ねこじろう (147)
「あの、、おじさんは結婚されてるんですか?」
この質問をしたことを私は後悔した。
というのはさっきまで柔和だったおじさんの顔が、みるみる険しくなり紅潮しだしたから、、、
気まずい雰囲気がしばらく続いた後、ようやくおじさんは口を開いた。
「あのねえ、お嬢さん、、人にはいろんな事情があるんだよ」
「はあ、、す、すみません」
明らかに今までとは違うきついしゃべり方にたじろぎながら、なぜだか謝ってしまった。
「例えば、この私だ。
今年の春で49歳になる。
49歳だ。笑ってしまうだろ。
この年齢といったら普通私にもお嬢さんくらいの娘がいてもおかしくない。
そう思わないか?」
「………」
「どうなんだ?ちゃんと答えろよ!」
「は、、、はい!」
おじさんのドスのきいた声に亀のように首をすくめながら、あわてて返事をした。
「ははは、、、ごめん、ごめん、どうやら驚かしてしまったようだね。
でも本当なんだよ。
かといって私が49年間何もしてなかったかというと、
それは大間違いだぞ。
私もそれなりに努力はしたんだ。
特に母さんがうるさかったからな。
晩飯の時なんかにはよく「あんたもそろそろお嫁さんもらったらどうなんだい?わたしゃあ、いい加減あんたの面倒みるの疲れたよ」ってぼやきやがってな。
ははは、、それを言われる度に派手な親子喧嘩さ。
だから40歳になってからはかなり頑張ったと思う。
結婚相談所、婚活パーティー、マッチングアプリ、いろいろやったよ。
たくさんの女性と食事に行ったり映画を観たり遊園地で遊んだりした。
でも、ダメだった。
何でだと思う?
イケメンではないからか?
背が高くないからか?
年収が1000万もないからか!
それとも頭が薄いからか?」
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