女子大生梨乃─悪夢のヒッチハイク旅行
投稿者:ねこじろう (147)
「今日は1日雨みたいだよ。
実は今から宮崎方面に行くんだけど、そっち方面で良ければ乗せていってあげるよ」
雨も降っており、これからまた車を探すのは大変だったし丁寧で優しそうなものの言い方だったから、私はおじさんの好意に甘えることにした。
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おじさんは運転しながら終始優しい笑みを浮かべ話しかけてくる。
白いワイシャツにピンクのネクタイを締めていた。
車に乗る前は気が付かなかったが、お腹は結構出ていて背丈もかなり低そうだ。
ふと見ると、ダッシュボードの上にピンクの薔薇の飾りがあった。
「大阪からヒッチハイクで来たんだ。
すごいねえ、
きみはもしかして大学生?」
「はい、、、今年から」
「いいねえ女子大生かあ」
「おじさんは家族とかは?」
「いるよ後ろに」
そう言っておじさんは左手で後ろを指差す。
「え?後ろにも誰か乗ってるんですか?」
「そうだよ。
家族で気ままな旅行をしてるんだ」
そう言っておじさんは得意げに口笛を吹く。
振り向いたが背後には白いボードの仕切りがあり、後ろの様子は見えない。
すると、いきなり背後からくぐもった女の声がした。
「裕志~、、あたしゃあ腹が減ったよ~、何か食べるものとかないのかい?」
おじさんは少し顔を後ろに向け顔をしかめて舌打ちした後、今度は私をチラリと一瞥すると、
「まったく年寄りというのは、すぐ腹を空かすものだな」と言って苦笑する。
しばらくするとおじさんは右にハンドルをきり、コンビニの駐車場に入ると、車を停めた。
「ちょっと買い物してくるけど、何かいる?」
運転席を降りながら尋ねてくる。
「いえ、大丈夫です。
ありがとうございます」
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