【USAのUMA事件】-研修生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
「ルコは、バレットM99ライフルを使ったことはあるか?」
「ハイ、スクールにあるのを触ったことはありますが、実射経験はありません!」
「よし。ルコはそのバレットを使って1000ヤード(915m)の距離からベヒーモスを狙撃だ。作戦実行は明日の夜。それまでにバレットの射撃テストをして自分の物にしてくれ」
「ハイ!」
「た、大佐!質問があります!」
「何かね、軍曹」
「ベヒーモスには通常火器が効かないと先ほどお話がありました。
・・・バレットの弾丸は0.5インチ(12.7mm)弾、それがなぜ通用するのですか!?」
「軍曹、ここから先は極秘事項だから、キミに詳しく説明することはできん。だが、ヒントはくれてやる。魔法だ。魔法を使う」
「ハッ・・・はぁ?」
「聞き返すな、軍曹。そして、口外無用だ。ルコ・クチヤは軍事機密の塊だ。丁重に扱うように」
「イ、イェッサー・・・」
こんなにも不安で不気味な気分になったことはない。
軍曹はなにか背筋に緊張を覚えながら、今更ながらに謎を秘めた少女を見返した。
「・・・(・ω<) てへぺろ」
さらに不安は高まった。
・・・・・・
翌朝から、朽屋瑠子は一旦後方に下がり、陸軍の管轄する射撃場でバレットM99ライフルの実射テストに入った。
M99ライフルはバレットシリーズの中でもとくに狙撃に特化したライフルで、単独でも扱いやすいように小型軽量化されている。そうはいっても、ライフルとしてはとてつもなくデカイ部類に入ることに変わりはない。
機関部も大幅に簡略化され、弾を一発ずつ込めるボルトアクションライフルになっている。だが、朽屋にとってはそれがむしろ良かった。単発のボルトアクションライフルは封鎖性が高く、精密射撃にもってこいだ。ましてや朽屋の魔法・・・つまり、魔力と霊力を込めた魔弾はたった3発しか用意できない。どのみち勝負は3発だけなのだ。
M99のバイボッドを立て、腹ばいになった姿勢で、実際に1000ヤード先を狙って撃つ。
テストなので、もちろん魔弾ではなく、普通の弾丸を使う。普通の弾丸と言っても、12.7mmの弾丸は昔で言うと戦闘機の機銃として使われた口径であり、こんなものをライフルで撃とうと考える人間などいるはずもないのだが・・・それをやってしまうのがアメリカであった。
朽屋が引き金を引くと、まるでカミナリのように雷鳴が轟き、発射の衝撃で土煙が舞う。
朽屋の身体も一瞬後方に飛ばされそうになるくらいの衝撃だ。
朽屋はこれを50発ほど撃ち、射撃の感覚をつかんだようだった。
・・・・・・
もうすぐ日が暮れる。作戦行動開始まで間もなくだ。
そのフィールドを見つめるスーツの男がいた。FBIの捜査官だ。
だが今は軍事作戦を眺めることしか出来ない。
kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で7作目となりました。過去作品もお読みいただくと、より世界観が広がると思います。よろしくお願いします。
今回のお話は、朽屋瑠子シリーズの中でも最も長編となった【より子ちゃん事件】で瀕死の状態になった朽屋が復活する過程でアメリカに研修に行っていた時のお話になります。
朽屋シリーズは時系列がバラバラなのはご了承ください。
ロマンホラーって感じで、気軽に楽しんでいただければと思います。
また誤字などありましたらお気軽にお知らせください。
先生の久しぶりの力作を楽しみです。
↑kamaです。毎度読んでいただきありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは別に怪談としてぜんぜん怖くないし、なんなら中二病全開で、話も長くてYoutubeでも2回くらいしか朗読されたことありませんが、自分で書いてて一番楽しいです。
えぇ、これが自己満足の世界というやつです。
「沖縄のキャンプ座間」が気になってしまいました。沖縄なのか座間なのか。今後のストーリーに影響なければ流すのですが。
↑kamaです。設定のご指摘ありがとうございます。「沖縄」をはずさせていただきました。
実は最初に書いた原稿で、大佐が沖縄のキャンプシュワブにいた設定にしていたのですが、
ご存じの通りキャンプシュワブは米海兵隊の基地で、グリンベレーと海兵隊の協力関係があったという設定もできますが、やはり陸軍は陸軍ということで、途中で座間に変えたのですが、沖縄のまま進めてしまいました。ご指摘大変ありがたいです。またなにかおかしなところがあったら教えてください。
ラストの方でチョコバーを差し入れるマーベリックがかわいくてちょっと萌えました。
↑kamaです。コメントありがとうございます。萌えは大事ですね。
学業と訓練の二刀流の瑠子、カッコいい!
↑kamaです。コメントありがとうございます。でも、実質1年留年です。そこはテヘペロです。
ちょっと待て、16歳の太ももで三角締めって、ご褒美じゃねーか!
最近、射撃場という言葉をよく目にする。ひとつはこの作品。もうひとつは自衛隊のニュース。
出だしのセリフ、北斗の拳かと思った。