それはガーゴイルである。ルーカ神父の能力、遠隔透視のクレヤボヤンスと霊力の実体化を応用して作り出した使い魔だ。ルーカ神父はこのガーゴイルを三体まで出すことができる。
「神永クン、数馬クンとは会ってはいけないと忠告したはずだよ」
「神父様!!」
「ミオしゃ~~~ん! 助けに来たよ~~~!」
「あっ、朽屋先輩! それに貴澄先輩も」
「えっ!?朽屋!?・・・あれが・・・?・・・女子・・・女子じゃねぇか!!」
「だって、数馬聞いてくれないんだもん、ウチ、女子校よ??」
「そ、そうか・・・」一人で空回りしていたことに気付く数馬。顔が赤くなる。
「じゃ、頼子君、頼む」
「ハイ、神父様」
頼子の身体が少し輝いたかと思うと、翼を広げて二人のいる上空まで飛んで来た。
「き、貴澄先輩・・・羽根が生えて、まるで天使様みたい・・・」
天使形態になって空に浮かぶ頼子を不思議な気持ちで見つめる澪。
「バインド!!」
頼子がそう叫ぶと光の輪が現れ、澪の悪魔と、数馬の死神の二匹を捉えて縛り上げた。
澪と数馬にその姿は見えないが、二匹が大人しくなったのは判った。
ルーカ神父のガーゴイルも下がり、付近は急に静かになった。
「神永クン、それに数馬クン。アブナイ遊びをしすぎたようだね、この遊びは今日で終わりにするよ」
ルーカ神父が剣を抜き、剣に十字架をはめ込む。神父の霊力が剣に宿って輝きだす。
澪の前で小さく浮かんでいるクローバーが話し出す。
「神父のくせにソードなんて持っていいのかよ」
「申し遅れた。私は法王騎士団の師団長、ルーカだ。キミはなんという悪魔だ?」
「けっ、法王騎士団か・・・うわさは聞いてたけど初めて見たぜ。ボクは・・・ボクには名前は無いよ。どこの悪魔軍団にも所属していない。人の血を吸ってもう1000年も生きている。最初はイギリス。そこでクローバーの姿に封印されて、ある時箱に詰められて旅をした。インドへ渡り、パキスタンを通り、それから中国、最後に日本に渡って来たのが今から100年ほど前だ。ずっと四つ葉のクローバーの姿で大人しくしていたのさ。それが10年くらい前かな。澪と出会って、澪から少しずつ血を頂いて生きて来たのさ」
「なるほど、よくしゃべる草だと澪クンからは聞いていたが、本当だな」
「なんだよ、いいだろ。もう観念したんだよ。どうせボクを殺すんだろ?」
「えっ?」それを聞いた澪が驚いてクローバーと神父の顔を交互に見る。
「神父様、この子、殺すの?」
「澪クン、殺すとは人聞きの悪い。悪魔は浄化させてもらう。それにキミにはそのかわいらしい四つ葉のクローバーしか見えていないから判らんだろうが、今、頼子君のバインドで拘束されているそいつの本体は、緑色の血管が全身に浮き出た恐ろしい姿をした悪魔だ」
「でも神父様、この子私を助けようとしてくれた!!」

























kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。
kamaです。
これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
神永澪=山黒音玄
四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?
思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。
↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?
kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
よろしくお願いします。
Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?
↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。
kamaです。
実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。
「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
なんてニュースが流れてきました。
・・・まさかねぇ・・・。