朽屋のライフルが火を噴き、河川敷の公園に雷鳴が轟く。死神の額に一発、青い火花とともに大穴が空く。反動で吹き飛ばされる死神。地面に落下した死神の心臓部分に、もう一発の魔弾が撃ち込まれた。まさに百発百中。死神は完全にとどめを刺され、あえなく青い炎に包まれ、焼失して消えていった。
死神の沈黙を確認し、朽屋はライフルを撤収した。
「さて・・・」ルーカ神父が神永 澪と麻生 数馬の二人へ向き直る。
「神父様・・・」
「二人はいろいろ知り過ぎた。悪いが、君たちの記憶の一部は消させてもらうよ。今日あったこと、そして悪魔の事も死神の事も、我々の能力のこともすべて消させてもらう」
ルーカ神父が二人の頭上に青く輝く剣をかざし、呪文を唱えていく。
ゆっくり崩れ落ち、気を失う二人。
「神父様、人の記憶の一部を消し去るなんてことが本当にできるのですか?」
頼子が地上に降りてきて質問する。
「あぁ、これは催眠術のひとつだ。本当に記憶を消し去っているわけではないんだよ。人間の脳は複雑でね、記憶の一部だけを自由に消したり上書きしたりはできないんだ。だから催眠術で悪魔や死神、そして今日の出来事を思い出そうとしても自制心が働いてその記憶にたどり着けなくしているのさ。思い出したとしても、それを口にしたり、書いたりすることもできないだろう。秘密保持のための催眠術だ」
「二人、眠っちゃいましたね」朽屋 瑠子も合流し、寝ている二人を見下ろす。
「あの、神父様・・・」
「なにかね?」
「神永さんへのキスの件は・・・」
「あぁ、アレは悪魔が体の中に巣食っている時の対処法でね。もう必要なくなった」
「・・・そうですか(T_T)」
「じゃ、我々も撤収しよう。そろそろこの周辺の固有結界も解除される」
「えっ、この二人置いてっちゃうんですか?」頼子が聞く。
「放っておいてもすぐに目覚める。その前に我々は退散した方が良いだろう」
「案外冷たいとこあるよね、神父様」「だよねぇ」頼子と朽屋がヒソヒソ語る。
「じゃあ私たち、彼女らが目覚めるまで、少し隠れながら見守ります」
「ふむ。そうか。じゃあ終わったら気を付けて帰るんだよ。私は先に教会へ戻って事件の報告をする。・・・念のため、ガーゴイルを一体残して行こう」
・・・・・・
「頼子ちゃん・・・私、眠くなってきた・・・」
「あーもう、そうだった。瑠子ちゃん魔弾使った後は眠くなるのよね!」
「頼子ちゃん・・・バブぅ~(´ω`*)」
「うわっ! 赤ちゃんがえりして甘えるなっ!!」






















kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。
kamaです。
これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
神永澪=山黒音玄
四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?
思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。
↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?
kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
よろしくお願いします。
Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?
↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。
kamaです。
実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。
「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
なんてニュースが流れてきました。
・・・まさかねぇ・・・。