友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
最後は怖かったなーと、少しバクバクしながら呆然と映像を眺めてると、最後の最後、目元だけが辛うじて見えた人の頭のシルエットがヌッと画面端から覗き込んできたかと思えば、唐突に画面が真っ暗になって映像が終わった。
最後の覗き込む顔には、もう全部終わったと思ってた分、虚を突かれて声も出ない程ビビった。
いやあ、Aはすごいの作ったなとちょっと感心しつつ、すぐにラインに「結構怖かったよ。よくできてんなコレ」と感想を送った。
すると僅か二秒ほどで『おまえどこ』と返信が来た。
返信の早さは別の意味で怖かったが、俺は「今家だよ」と送ると、また二秒ほどで『そこどこ』と返ってくる。
なんだコイツ。何か気持ち悪いくらいに入り込んでんな。
俺は、Aが俺を驚かす為に役に入り込んでいると思ってた。
すると、Aとのラインの画面が着信画面に切り替わったかと思えば、別の友達、Bからの着信だった。
「もしもし」
『おー、〇〇?俺、A。今、Bのスマホ借りてる』
ん?A?なんでわざわざBのスマホから?
そう不思議に思ってると、Aはこんな事を言うのだ。
『実はスマホ落としてさ。悪いんだけど、その、一緒に取りに行ってほしいんだよ』
「は?」
今までラインで会話してただろ。
ほんとに何言ってんだコイツ、と思った。
「いや、今ラインしたろ」
『は?誰が?』
「お前と俺だよ」
『は?』
『は?』は俺のセリフだって。
Aの猿芝居に乗っかるつもりもないので、俺が「お前から変な動画送られてきたから、それ見て感想送ったじゃん。つか、よく出来てたよ」と淡々と告げると、Aは『…ん?動画?』と見当がつかない様子で聞き返してきた。
だから、会話がずっと噛み合わない感じだった。
さすがに面倒くさくなった俺は「だから廃墟で心霊動画撮影したんだろ?それを俺に送ってきたじゃん。結構怖かったよ」と強めに話すと、Aは『…いや、俺送ってないし』と消え入りそうな声で呟く。
まだ俺を担いでるのかと思い、僅かにあきれた様子で鼻で笑ってやると、Aは続けてこう言う。
『その、廃墟で撮影はしたんだけど、そこでスマホ落としたみたいなんだよ。家の中にさ、すげえでかい虫が居て、ビビッて逃げたときに落としたっぽいんだ。俺、虫苦手だから一緒に来てくれないか?頼むよ』
虫?
そんなシーンあったか?と首を傾げた。
俺が見た限りでは、Aは部屋の中に居た幽霊役の人を見て廃墟から逃げ出す芝居をしていただけだろう?と困惑した。
そもそもスマホを落としたというならどうやって俺に動画を送るんだ。
矛盾しているじゃないか。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)