奇々怪々 お知らせ

心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

あまりに夜泣きがうるさくて
長編 2023/03/22 21:19 5,767view
0

もう1か月も我慢していたので、世間体を考えて優しく言うなんて配慮はできなかったです。

それまでも何度も苦情を言ったので、管理者を通していろいろと注意を受けているはずなのです。

それなのに、いけしゃあしゃあと「何ですか?」と聞いてくる無神経さに腹が立ちました。

私が一方的に夜泣きの文句をがーっと話すと、奥さんが「すみません」と申し訳なさそうに言いました。

寝起きの機嫌が悪かったのも手伝って、かなり暴言を吐いてしまったように思います。

最後まですべて文句を吐き切ったときには、相手は泣きそうな顔になっていました。

さすがに若い人をいじめすぎたと自分でも反省して、私は「まあ、今後気を付けてください」と言ったのです。

それを聞いた彼女はなんというか私と比べても酷いと思う顔色で、能面のように表情がなかったです。

隣人が扉を閉めると、一応言うことは言ってすっきりした私ですが、家に入ろうとして、びくっとしました。

赤ちゃんのギャン泣きのような声がして、隣の家からドタバタとすごい音がしたからです。

と思ったら急に静かになりました。

赤ちゃんの泣き声も次第に弱くなっていき、私はこれになんとなく異変を感じたのです。

だからおそるおそるもう一度隣の家の扉を叩きました。

「どうしました?」みたいなことを聞いたと思います。

そしたらさきほどの奥さんが出てきたんです。

「ひっ」と思わず声が洩れました。

私はその場に腰を抜かしました。

だって開いた部屋の中は血みどろで、出てきた奥さんが包丁を持っていたからなのです。

殺されると思って逃げようとしたら、奥さんが私を引き止めました。

そして至近距離で「あなたが私を追い詰めたせいじゃない」とボロボロと泣きながら私に言いました。

そして私の目の前で、自分の首をスパッと切って、その場に倒れこんだのです。

目の前で起こったことへのあまりのショックと、展開に脳内がついていかなくて、私はそれから意識が飛びました。

そして気づいたら朝でした。

私はなぜか自分の部屋のベッドの布団の中にくるまって、目を覚ましたのです。

朝起きて、すぐに隣の部屋に行きました。

玄関の戸を朝からどんどん叩いてピンポーンと鳴らすと、中から出てきたのは綺麗にお化粧した若い女性です。

まるで昨日の人とは別人みたいでした。

私はとにかく「赤ちゃんは?」と聞いたのです。

真っ赤に染まった部屋を見て、一番に思ったのは赤ちゃんの安否なのです。

そしたらその人が「赤ちゃんって???」とかなり不審な顔で聞き返されました。

2/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。