この日は、ベアトリーチェ=より子にとって忘れることができない1日となった。
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12月24日、クリスマス・イブ。
この日教会ではクリスマスミサが開かれ、高等科の生徒たちによる讃美歌も披露されていた。教会には一般の方も招き入れられ、厳かな雰囲気に包まれていた。
より子はずっと期待していた。今日こそは涼が来てくれるのではないかと。
どうやらその思いは神様に通じたようだ。
母親といっしょに、少しおめかししたかわいらしい少年がそこにいた。
より子はそっと、涼の横に立った。
ドキドキと恥ずかしさとが入り混じった不思議な高揚感がする。
「より子ちゃん!?」涼は叫びそうになるのをじっと耐えてより子にささやきかける。
「涼君、来てくれてありがとう。会いたかった」
涼はポケットをごそごそと探って、小さな包みを取り出し、より子に手渡した。
「メリークリスマス、より子ちゃん」
包を開けてみると、そこには小さなローズクウォーツがあった。
(なにこれ、かわいい・・・ろうずくうぉーつ?・・・)
より子は初めて見る明るいピンク色の水晶を光にかざして見た。うれしい。
水晶もうれしいが、気にかけてくれる涼の気持ちに感激した。
本当は飛び跳ねてしまいたいほどうれしいのだが・・・今はミサの真っ最中である。
より子は涼の手を握った。
より子には判っていた。野戦病院のような所で多くの病人を見てきた。
母も病気で亡くした。
だから、涼が重い病気であることには気が付いていた。
涼の手を握りながら、より子はありったけの力を込めて念じていた。
(神様どうか、貴澄涼をお救いください。
彼の身体から毒が消え、元気な体に戻ります様に・・・)
暖かい空気が周りを包み込む。
実は涼の病気は、より子が自然に放つヒーリング力によって徐々に良い方向へと回復の兆しを見せていた。そしてこの日も涼は直接的にヒーリング力を送られたことで、病気の回復がどんどん早まって行った。
余談ではあるが、この様子を遠くから見ていたルーカ神父が後に語っている。そのヒーリング力の影響は教会内全体にまでいきわたり、おそらくこの日ゲストで来場されていた方の中で病気を持っていた方たちは、知らず知らずのうちに回復が進んでいたことだろうと。現にその後お礼を言いに教会を訪れた人が何人か現れ、神に感謝して行ったという。
・・・あたたかいヒーリング力に包まれ、眠っている涼。
やがてミサも終わり、母親が涼を揺り起こす。「ほら、もう帰るわよ。起きて」

























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!