ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。
一か八か、教会へ行ってみよう。今日なら女子校もお休みだから人もいないだろう。
そう思い、涼は久しぶりにより子の顔を見に行く決心をした。
雲行きが怪しい。もうすぐ雨が降りそうなそんな天気だ。急ごう。
・・・・・・
ルーカ神父と朽屋瑠子は、この日も教会で特訓をしていた。
朽屋はもう中学3年生となっており、武具を使った体術に霊力を込めての戦闘術もできるようになっていた。ルーカ神父はこのまま朽屋をイタリア本国に連れ帰り、法王騎士団に入団させようと考えていた。もちろんルーカ神父はそのメンバーでもある。
「まだ14歳だというのに、いったいどこでそんな槍術を覚えたんだ?」
ルーカ神父が模擬戦用ナイフの二刀流で朽屋を襲う。
それを同じく模擬戦用の短槍で受け流す朽屋。
「お爺ちゃんが・・・ハァハァ・・・田舎で道場やってて・・・ハァハァ・・・棒術とか、
槍とか、いろいろ、子供の頃からやらされて・・・」
「ルコちゃん息あがってるよ~」遠くから二人を眺めているより子が二人を煽る。
「だから、・・・いろいろまぜこぜで、槍も棒術的に使える短槍の方が得意なんです・・・ハァハァ」
「よーし、一休みしよう。体力はもっとつけないとな」
「ハイ・・・ちょっと、ポテチ食べ過ぎました・・・」
「ルコちゃん、私が疲れをとってあげますよ~」
「ありがとう~より子ちゃん~大好き~むちゅゅゅう」
「やーめーて」
ルーカ神父はこの時、自転車でやってくる少年の姿をガーゴイルの目で確認した。
(あれは、より子クンのボーイフレンドか。ふむ。怖がらないようにガーゴイルは隠しておこうか・・・。いや、そうだ・・・これはチャンスかもしれないな)
「より子クン、お取込み中すまないが、来客のようだよ。ボーイフレンドが会いに来た」
「えっ!涼君!?」
「早く行っておあげ」
「ハイ」駆けていくより子。
「朽屋クン、一緒に来たまえ。地下の宝具室から騎士団用の短槍をお貸しする」
「え?神父様、実戦でもするんですか?」
「あぁ、もしかしたらもうすぐ始まるかもしれない。詳しくは歩きながら話そう」
「ハイ」
























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!